罰ゲーム (ページ34)

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結果、俺は丸に抱かれた。
キスをして、抱きしめられて、押し倒されて。
合意の元やから抵抗する気もなく、俺はされるがままだった。

今回はお酒を飲んでいない。
だから、しっかりと記憶に残ってる。
この事実を俺は忘れられない。

丸は俺を抱き終わったあとにシャワーを浴びに行った。
もちろん、俺の事を綺麗にしてくれてからだ。
そういうところは本当に律儀な奴やなって思う。

けど、俺ら付き合ってないのに何してんの？

丸は俺が好きなん？
それとも忙しくて遊べへんから？
暇つぶしに俺を利用したん？
なぁ、丸、隆平、教えてや。

じゃないと、俺このまま期待してまうで。

「…………あほらし」

俺は俯くと零れちゃう涙を流さへんために上を向いた。
そのまま立ち上がって俺はベッドを降りた。
散らかった服を回収して急いで着る。

そのまま丸にバレないように家を出た。

上の服を間違えたのに気づいたんは出てからやった。
今日は2人とも似たような服を着ていたせいや。
少し薄暗い部屋で手探りで着てもうたからやな。
けど、引き返す程の勇気も気力もなかった。

自然に零れそうになる涙を無理やり拭って、俺は歩いて途中まで帰ることにした。
腰が怠くて、関節も痛いけど、それでも良かった。

きっと丸に会うんは先になってしまうやろうから。
この事実だけを感じていれば少しは生きていける。
抱かれた事実は勘違いじゃなかったから。

「おれが一番、なにしてんのやろ」

自分を嘲笑って前を見てみれば、見覚えのある背の高い男の姿が。

「あれ、大倉？」

俺の言葉に大倉も気づいたらしく「亮ちゃん」と名前を呼ばれる。
久しぶりに見た大倉は前よりも男らしく見えて、別人のように感じた。

最近まで休んでいたのも知ってるから、ちょっと元気な姿を見れて安心した。
そんなこと、俺が言える立場じゃないけど。

「久しぶりやな、こんな所で会うなんて思わんかったわ」

「ほんまやね」

「今から家帰る感じ？大倉、酒くさいし」

「…………ヤスと、飲んでたから」

「章ちゃんとか！相変わらず仲ええなぁ」

大倉は俺との会話中、意識がどこ別にあるようやった。
ずっと何かを見つめていて、何を訴えていた。
何よりも、俺のことを少し軽蔑するような……そんな瞳で見つめてるから。

「…………大倉？」

「………………て」

「えっ？」

「丸ともう会わんといて」

大倉は色のない瞳で俺を見つめて、冷たい声でそう言い放った。