黄side ページ28
「亮ちゃん、最近元気ないね」
「え、」
「YouTube撮影の時も空元気と言うか、心ここに在らずって感じ?」
「…………ごめん」
「いやいや、責めてるわけじゃないよ?ただ普通にどうしたのかな?って」
仁と久しぶりに画面越しじゃなくての食事。
全部見透かされてて笑えてくるけど、笑えるほどの気持ちはない。
「…………別に、なんもないよ」
「単刀直入に聞くわ」
「?」
仁は真剣な眼差しで俺を見つめて、その真っ直ぐな瞳で俺の奥を見ようとしている。
逸らしたくても逸らせへんかった。
でも、全部バレてるような気がして怖かった。
「丸山くんと会ってる?」
仁の言葉に分かりやすく反応してしまった俺は、無意識に肯定しているようなもんやった。
けど、仁は茶化すわけでなく「そか」とだけ言った。
「なんで急にそんなこと聞いてきたん」
「この前見かけたって奥さんから聞いただけ。それが本当かどうか知りたくて」
「…………それとさっきまでの話、全然関係ないやん」
「関係あるじゃん」
仁は何も無いような顔をして飲み物を飲みきる。
そして当たり前のような顔して「亮ちゃん、丸山くんのこと一番気にしてたじゃん。最後までずっと」なんて言ってきた。
「はっ?」
「亮ちゃん、寂しがり屋の照れ屋さんだからさ。人から誤解されやすいじゃん?そんな亮ちゃんのこと一番わかってたのって丸山くんだった気がするからさ」
「なんなん?俺の事からかってんのか?」
「からかってなんかないじゃん」
「じゃあ何が言いたいねん!」
思わず語尾が強くなってしまった。
全てを当てられて、心を全部出されてるような気がして気持ち悪くなった。
でも、その気持ち悪さを吐き出す相手は絶対に仁ではないはずやのに。
「亮ちゃんが心配なんだよ」
こんなにもわかってくれてる友人に怒ってどうすんねん。
俺は無性に泣きたくなった。
多分、目はうるうるしてもうてたと思う。
それでも仁は何も言わなかったし、優しく笑って「無理しないでね」とだけ話した。
わかってる、今の俺のコンディションが最悪なのは。
それも全部、丸の関係してることも。
自分でも全部わかってんねん。
わかってるから、他人に指摘されるのが怖い。
自分が責められてるような、怒られてるような気がして仕方ないから。
悪いのは自分なんわかってるから、泣きたくなるのも我慢してた。
やけど、仁の言葉に泣いてしまったのは許して欲しい。
56人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひなまる | 作成日時:2022年6月27日 17時