罰ゲーム (ページ3)

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「今日の企画は罰ゲーム付きです！」

「はっ！？聞いてないねんけど！！」

「だって今決めたし」

仁との動画撮影をいつも通り始めて、今日の企画の説明の時に急な罰ゲーム発言に俺は思わず嫌な顔をしてしまう。
仁はそんな俺を分かってたようにニヤニヤしてる。
腹立つわぁ、その顔。

俺はぶつくさ文句を言いながらも、結局楽しく仁と企画を進めた。
後半なんか罰ゲームのことなんか頭になかったし。

で、ゲーム企画に昔から弱い俺は案の定負けた。

「はい！亮ちゃん罰ゲームで〜す！」

「マジで最悪やわ……。え、ちょ、罰ゲームやめへん？」

「いやいや、これまでの企画の意味なくなるじゃん」

「おもろかったやん、それでええやん」

「罰ゲームも面白いから」

仁はそう言ってまたニヤニヤする。
やから、その顔腹立つって。

「罰ゲームって言っても、買い出しとブイログみたいなものだから」

「自撮りとかめっちゃ苦手やねんけど……」

「まぁまぁ、一瞬だから」

自撮りで外に行くとか、ホンマに罰ゲームやん。

その時、頭に浮かんだのは昔の“罰ゲーム”やった。
自撮りで集合して、俺よりも先に待っていたアイツが一瞬複雑そうな顔をしたから思わず謝る俺。
でもすぐに受け入れてくれて、俺との“罰ゲーム”を心から楽しんでくれた。

あの日から、俺らのお互いの意識は変わったんやった。

昔からの長い付き合いやのに、知らなかった部分があった。
惹かれる部分があった。
気がつけば目で追うようになって、気持ちが爆発するようになった。
俺は止まらんくなった感情をお酒の力でぶつけた気がする。
酔ってたからこの辺は記憶が曖昧やわ。

でも覚えてる。
抱きしめてくれた感覚も、その後の唇の感覚も。

「亮ちゃん？」

「……え、あ、ごめんごめん！ボーッとしてたわ」

「なんで泣いてるの？」

「えっ？」

俺は思わず自分の頬に触れる。
今日の朝に拭ったはずの涙が溢れていた。

「罰ゲーム、そんなに嫌だった？」

「ち、違うで！そんな子供みたいな理由で泣かんし！！」

「いや、亮ちゃん割と子供だからね」

「うるさいわ！……でも、ホンマにそんな理由じゃないで？」

仁は心配そうな顔付きで俺を見つめる。
俺はそんな仁に「大丈夫」としか言えへんかった。

「罰ゲーム、ちゃんとやるから。なっ？」

「………亮ちゃん、無理はしないでね」

「おん」

俺は作り笑いで仁から罰ゲームの説明を受ける。
そんな時でさえ、頭の中はアイツで埋め尽くされてた。