罰ゲーム (ページ37)

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ヒナは目を擦りながらポヤポヤした様子でリビングに入ってきた。
何となく昔のヒナのように見えて、可愛く思えた。

『おはよ』

『…………あれ、夢やないやん…………』

『勝手に夢にするなや』

『やって…………』

ヒナは頭を掻きながら俺を見る。
そのまま勢いよく頭を下げてきた。

『ありがとうございました』

『はっ？』

『俺の事心配してくれたんやろ？おかげで久しぶりにゆっくり寝れたし、迷惑かけたな。もうこんな事ないようにするから』

俺は気が付けばヒナの腕を掴んでた。
ヒナは驚いたんか俺を見つめてた。
そんなことをしてた俺が一番驚いたわ。

やけど、多分、いや絶対に俺は、ヒナに対して怒りを抱いてた。

『ええ加減にせぇよ。なんやねん、もうこんな事ないようにするって。そういうことちゃうねん、俺が言いたいんわ』

『なに怒ってんの？』

『怒ってないわ！』

『怒っとるやん』

こういう時のヒナは冷静で俺のことを絶対責めたりせぇへん。
その大人な対応に俺は余計に腹が立って、さっきよりも強い力でヒナの腕を掴んだ。

『ヨコ、痛い』

『なんで俺はいつまでもお前の中でそんな対応やねん！！なんで俺には頼ってくれへんねん！！なんで弱いところもっと見せてくれへんねん！！！すばるの前やった……ら…………』

言葉がフェードアウトしていく。
思考も同じように止まっていく。
ヒナは意外やったんか目を見開いてる。

『ヨコ』

『っなんやねん！』

『俺はヨコを頼りにしてるで？ヨコに支えられてるから此処に居るし、俺がまずこの世界に居られるんはヨコがいたからやで』

『……っ、やったら『やから、これ以上は迷惑かけられへんねんって』

俺はヒナの言葉にカッとなって掴んでた腕を勢いよく離した。
ヒナは少しだけ痛そうに顔を歪めた。
俺はそれ以上ヒナを見てられへんくて後ろを向いた。

『ごめんな』

ヒナはそのままリビングを出て、荷物を持ったんか家を出ていった。
独りになった部屋で俺は頭を抱えて叫びたくなった。

あんな風に怒りたくなったわけやないし、謝って欲しかったわけじゃない。
俺は、ただ、すばるみたいに…………