泡沫。 (ページ30)

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「Aちゃん。」

「先輩、」

そんなことを考えていると、先輩が戻ってきた。紫耀先輩って呼んでくれないんだ、とちょっぴり拗ねているような先輩だった。

「まあそんなことはどうでもよくて。ジンに何か変なこと言われてない？」

「大丈夫です。すごい先輩のこと思ってるのが伝わってきました。」

「えぇ、絶対あいつ変なこと言ったじゃん！笑」

「そんなことないですよ。すごくいい人ですね。」

「え、もしかしてAちゃんジンのこと、！」

「それはないです。笑」

「知ってるー。冗談だよ。笑」

そんなふうに楽しそうにけらけらと笑う先輩を見て、さっきの神宮寺先輩が教えてくれたたことが気になる。そう、さっき最後に神宮寺先輩はこう教えてくれた。

“紫耀が授業サボっても許される理由。それも紫耀が心に深い傷を負っているから。それを知っているから、先生たちは誰も何も言わない。”

先輩の心の傷って………？それに永瀬くんが関係していることはわかったけど、それ以上は何もわからない。先輩は自分のことを話そうとしない。いや、きっと話せないんだろう。

「Aちゃん？」

「………私は、」

「んー？」

「私に先輩のことを知る権利はありますか、」

「…どーだろ。てかそんなことよりさ、」

まただ。また誤魔化された。

私は先輩との間に壁を置かれている気がする。それも、とても分厚い壁を。その壁を壊すには、一体どうしたらいいのだろうか。