泡沫。 (ページ13)

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それから私と永瀬くんはどんどんクラスで孤立していった。そりゃそうだ。よく考えなくてもわかる。

なぜなら、私も永瀬くんもお互いに話しかけるだけで他の人には一切話しかけない。話しかけられたら話すけど、みたいな感じだ。それに、ふたりでいつも一緒にいるのだから。話しかけづらいに決まっている。

そのうち永瀬くんと付き合っているという噂が流れ始めた。永瀬くんのことが気になっている子はたくさんいたから、当然私に対するイメージもどんどん悪くなっていく一方だった。

けれど、永瀬くんは否定も肯定もしない。放っておけという感じだった。

「A。」

「ん？なに？」

「次移動教室やっけ。」

「あ、ほんとだ。行かなきゃ。」

「俺先行って席取っとくわ。」

「うん、ありがとう。」

本当はわかってる。

こんなの、よくないって。

けれど、今の私は永瀬くんに離れられてしまう恐怖が大きかった。好きな人に離れられてしまったら立ち直れなくなるのではないだろうか。そう思うと、クラスでどれだけ孤立しようとも永瀬くんを選んでしまっていた。

「あれ、Aちゃん？」

「え？」

「やっぱり！Aちゃんだー！」

なんというタイミングだろう。永瀬くんに関わるなと言われている平野先輩に会ってしまった。どうしよう、無視するわけにはいかないし………。

平野先輩はこちらに近づいてきて、下を向いている私の顔を覗き込んでくる。

「なんか悩んでるでしょ？」

「え、」

「俺そういうのわかるんだよねー。」

「あ、えっと、」

「とりあえず、話聞くからついてきて！」

「え、ちょっと！」

そうやって半ば強制的に先輩に連れられてきたのは、屋上だった。