72話 受け止める ページ37
「父は俳優なので、ストーカー被害とかも多いんです。
最近も、ストーカーされている気がするとよく話していました。」
「それが、今回の敵だったと…」
「おそらくそうだと思います。父はいつも、ストーカーされている時ははっきりと「ストーカーされている」と言います。
ですが今回は「ストーカーされている気がする」でした。
ストーカーに敏感な父が気付かなかった。
敵連合の死柄木弔。
彼しかバレずにストーカーすることなんて出来ないと思いますよ。」
「わざわざ情報屋を使わなかったあたり、
俳優の情報網の警備の厳しさに警戒したのか…。」
その後も昨日までのことを話し続けた。
ミッドナイト先生は、途中から耐えきれず外へ出てしまった。
「君は今、何を感じているのか。教えてくれないか？」
校長先生が私に優しい声音できく
「…。これを言えば私は、戻れないような気がします。」
「良いから、言っちまいな。」
「敵連合への憎しみ、オールマイト含めプロヒーローへの不信感。
そして、弟の消息不明への恐怖。
昨日から私の心を占めています。
USJ事件から、敵連合の強さ、恐怖を目の当たりにしてから私は
あんな連中によって未来が血みどろにならないよう、
未来を明るく先導するような、そんなヒーローを目指そうと奮起していました。
でも今、私はオールマイトが救えなかったうちの1人になって、
自分を保てるかわかりません」
怒りと憎しみで満ちてしまった心。
そんな自分がヒーローになれるか不安だ
「それがわかっているなら良い。
自分のなりたいヒーロー。それは途中から変えても良い。
未来を明るくする前に、目の前にあった命がなくなるのを目の当たりにしてしまったお前は
今きっと、道標がなくなってるんだ。
悩め。怒れ。落ち込め。泣け。
お前ができんのは、感情ぶちまけることだけだろ。
落ち着いたらまた話に来い。」
相澤先生の言葉を聞いてそれだけでいいのか、と
すこし気持ちが楽になった。
感情をぶちまける。
それを許してくれる人が私の周りに何人いるのか分からないけど
今は無性に…
「相澤先生…」
「どうした」
「1年A組に、行きたいです。」
みんなに会いたい___
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作者名：rizu | 作成日時：2020年3月21日 1時
