【d!】懐邂【z】 (ページ5)

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５話ページ5

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話を聞くと、Aと名乗った女は、この国の城下町にあるパン屋で働いているらしい。

どうやらロボロの調べのとおり、この国の国民は皆王族の圧政に苦しめられており、飢餓で苦しむ人々やストリートチルドレンも増えているのだとか。

彼女も眉を顰めつつ、現状について語った。

『……この国は腐ってます。上の立場の人間だけが得をして、軍属も平民も、苦しんでいる』

「…………」

『あなたの国は、幸せですか？』

「……幸せやと思う。人に、よるかもしれんけど」

おれの所属するW国は、富裕層と平民の格差が激しい世界の現状とは異なり、かなり充実した国だと言えるだろう。

それは、トップに立つ男―――グルッペン･フューラーが地位よりも自由を愛する男であることに起因する。

しかしあいつは自由を求めるあまり、「革命」やら「下克上」なんて単語が大好きだ。今回のおれに命じられたB国への潜入も、この国の王政への反発心を確めるためだったりもする。

「……っあ！そ、そういえば連絡…」

『連絡？あぁ、……今なら繋がると思いますよ。森の奥は電波がありませんが、うちの周辺は特別な電波を引っ張ってきているので』

お仲間の方も心配されているでしょうし、早く連絡をとってあげてください。

彼女はそう言って微笑んでいた。

◇