僕たちを忘れていく君に。2 (ページ10)

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Story.58 ページ10

平野「じゃあ、またな。」

「うん、また明日。」

永瀬「また明日な。」

そして、その帰り、俺らは2人になった。

そのときの俺は、内心、寂しかった。

今までずっと隣におった、しかも好きな子と離れるやなんて。

「もうこうやって2人で帰ることも少ないんか。」

永瀬「やな。」

「当たり前やったのにな。」

永瀬「やな。」

「なんか、寂しいな。」

永瀬「やな。」

「なあ、聞いとる？」

永瀬「ん？」

「さっきからやな、しか言っとらんやん。」

永瀬「ああ、ごめん。」

ほんまは寂しい、

そんな俺の気持ちも、長年の付き合いの彼女にはお見通しやったんやろう。

「ま、わかっとるけどな。私も一緒やから。」

永瀬「ふはっ。」

思わず笑いが出る。

ほんまに、この関係性、好きやわ、

たとえ、俺の初恋が叶わないんやとしても。

「廉。」

永瀬「ん？」

「離れていても、仲間やから。ライバルかもしれんけど、仲間やから。」

永瀬「なに当たり前のこと言っとんねん。」

「やな。」

永瀬「Aこそ、なんかあったらいつでも言えよ。俺はお前の一番やから。」

恋人でもないのに、よくこんなこと言えたな、今ではそう思う。

「うん。廉、一つ約束してや。」

永瀬「なに？」

「お互い、何があっても夢叶えよや。」

永瀬「おん。約束、な。」

「うん、約束。」

こうして、俺とAは約束した。