First Kiss (ページ2)

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「湧！」

「おー、颯太！久しぶりー。」

あれから何年か経ち、俺も湧も大学生になった。

二人とも地元の大学に進学したけど、お互い意外に忙しくて、会うのも1ヶ月振りとか。

高校の頃、ほぼ毎日放課後一緒にいた俺らからすれば、だいぶ会う頻度が減った。

「じゃあ店入ろうぜー。」

「うん！」

出会った当初はあんなに大嫌いだったのに、今では大好きだ。

今では親友と呼べるぐらい。

大きな変化だ。

けど、もう一つ大きな変化がある。

それは、俺の隣にAちゃんも深田もいないことだ。

.

.

「Aちゃん、元気かね。」

ふと、湧がそう溢す。

その湧の顔を見る限り、湧も今でもまだAちゃんのことが好きみたいだ。

「どーだろ。Aちゃん、高校卒業してから一切家に帰ってきてないみたいだし。」

「成人式のときも帰ってこなかったもんなぁ。」

「おじさんもおばさんも今どうしてるのかよくわからないって言ってた。」

「………颯太さ、連絡してみてよ。」

突然、湧がよくわからないことを言い出した。

「え、誰に？」

「いや、Aちゃんに決まってんだろ。」

「え、俺ぇ？」

「だって俺は所詮ただのクラスメイトだったからさ。」

「………無理だよ、きっと。」

「颯太、」

「もう、俺らが大好きだったAちゃんはいないから。」

それに、俺らには会う資格なんてない。

あの時、Aちゃんが一番辛かった時、俺らはなにも出来なかったから。