First Kiss (ページ1)

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「Aー、このあと暇？」

『なんか嫌な予感がする。』

「課題手伝ってー！」

.

.

『ひらつここはこうだよ。』

「え？」

『この前教授がこう言ってたじゃん。』

「そうだっけ？」

『はあ。』

こんなため息、昔彼がよくついてたな、なんて、懐かしいことを思い出す。

私は高校卒業後、無事東京の大学に進学した。実家も出て、一人暮らしをしている。

本当は地元の大学に進学する予定だったが、高三の本当にギリギリのところで変更。

誰も知らないところで、新しい自分になりたかったのが一番の理由だ。

まあ、結局変われたのかはわからないけど。

「Aは本当に頭いいよねぇ。」

『ひらつがバカなだけじゃない？よくこの大学入れたなと思うよ、私は。』

いや、訂正しよう。だいぶ変わった。

前はこんなにズバズバと言えなかった。

「うーわ、だいぶ言うね。Aに言われてなかったら殴ってたかも。」

『喧嘩弱いくせに。』

「痛いとこつかないで！」

『ほら、やるよー。』

「はーい。」

彼は平塚翔馬。通称ひらつ。

もう、人との深い関わりを持たないと決めていた私が唯一できた友達。

けど、私は他に友達がいないから、あとはほとんどバイト、とまあ、あとは想像にお任せしよう。

まあ、友達なんかよりも、確実にお金を稼いで、将来の足しになればなという考えだ。

そして、将来一人でも生きていける人間になる。

それが、東京に出てくるときに私が決めた目標だ。