祭の種明かし ページ47
『今宵、白兎は月に帰っていきました…この地の豊穣が永遠に安泰であるように願われて…』
「まさか本当に消えるとは…」
「今年は今までになく素晴らしい」
人々は白兎の祭りの最終行事は大盛況に終わった。
……
…
「全く、無茶な事をしてくれるな…」
「うまく受け止めたね。煉獄さん。」
会場から離れた場所で杏寿郎に投げ飛ばされた時透は槇寿郎に受け止められていた。
『カァァァ!大盛況!大盛況!』
「暗闇で受け止めるのも大変だぞ。何せ、暗闇のなかで一瞬で黒色になるんだからな…」
「まあ、あの高さなら僕は木で衝撃を和らげて着地できるからね。」
白兎に扮した無一郎は杏寿郎によって高く飛ばされたあと素早く黒い布で全身を包み、夜の闇に紛れた。
これにより観客は白兎が突然消えたと思い込んだのだった。
「煉獄さんもいつの間に躍りなんて覚えたんだろね。まるで炎みたいだったよ」
「杏寿郎が舞ってたのはAの師範の舞だ」
「そうなんだ。」
こうして祭りは無事に終え、三人は屋敷に戻り、時透も変装を解いた。
「ありがとう!時透!お陰で助かったぞ!」
「うん。僕も高く飛んで楽しかったかな。また飛んでみたいかな…」
あの状態で紙飛行機飛ばしたらもっと遠くに飛ばせそう…
翌日、子兎に襲われた男の屋敷に警官がやって来て男を連行した。
匿名で男の今までの悪事の全容を記した投書が入ったからだ。罪状からして男は永遠に塀の中だ…
こうして二人は卯屋敷を去った。
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「よく頑張ったね。二人とも。そのあとに何かあったのかな」
「…昨夜、藤の花の家紋の宿の近くの夏祭りでAが鬼に襲われました。Aを襲った鬼は恐らく当時、胡蝶の姉、胡蝶カナエを殺した鬼と思われます。緋酉がAに憑いて戦わなければ最悪の場合、Aは喰われていたでしょう。」
「緋酉が…」
「申し訳ありません、お館様……Aが血鬼術にかかった上に逃げられてしまいました!」
杏寿郎は畳に頭を勢いよく下げた
「だが、杏寿郎もAも生きている。それでいい…無事に戻ってきてくれて良かった」
産屋敷の言葉は杏寿郎の悩み苦しい思いを和らげていた……
「Aを襲った鬼の特徴はしのぶには話さない方がいいね。……杏寿郎。少し席をはずしてもらえるかな」
「はい。失礼します」
杏寿郎が部屋を去り産屋敷と槇寿郎の二人となった。
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作者名:緋酉 | 作成日時:2021年1月30日 21時