炎柱と火の鳥４ (ページ46)

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白兎の祭ページ46

宇佐見の話を聞いた女中達はもう子兎が戻ってこないことを悟った。

「子兎様……月に帰られたと…」

「最後に別れをお伝えしたかった。」

「しかし、祭りの前に子兎様が居なくなってしまったことを行事の変更なんて無理だわ。今さら代役なんて…」

「…代役なら心当たりがあるぞ」

「槇寿郎様？さすがにあなたでは子兎様の代役は無理が…」

「俺じゃない。杏寿郎でもないからな。既に呼んでいる。偶々近くで任務をしていてよかった。」

髪の長い少年と雌の鴉がやって来た

『カァァァ！ちょっと、あの子を朝から呼び出すなんていい度胸じゃない！いくら柱だからっ…』
「時透！」

「どうしたの？煉獄さん達。僕に何の用？」

「よく来てくれた時透！頼む、協力してくれ。」

時透は屋敷に引き入れられた。後ろで銀子が騒いでいたが、槇寿郎に止められた。

そして、時透は宇佐見と女中達によって髪を白くさせられ、化粧をほどこされた。

「まぁ…子兎様みたいだわ」

「暗がりだし、これなら……」

「さすがは時透だ！」

「ねぇ…まさか毎年こうしろとか言わないよね。」

無一郎は不服そうだ。

「今年だけだ。白兎は月に帰るという演出をする。埋め合わせはさせてもらうから頼む！」

「いいよ。忘れないでね。もちろん、煉獄さん達も何かやるんだよね。前座とかやらないかな。」

「前座か……うむ！ちょっと出てくる！」

杏寿郎は何処かに向かっていった。

何処に向かったのだろうか…昼前に杏寿郎は屋敷に戻ってきた。それから打ち合わせと練習をして祭りの最終行事が始まった。

祭りの祭壇の広場の回りに人が集まっていた

広場に松明を持った女中が入ってくるとそれぞれが篝火に火を着けて退場した

「おや？今年は違う演出なのか？」

「おっ、また誰か来たぞ？」

広場に炎の色合いをした衣装を着て、同じ色合いの被り物をした杏寿郎が入ってきた。

「何だ何だ？」

杏寿郎は火の鳥の舞を舞った。

「おぉ、力強い見事な舞だ」

「今年は随分と楽しめるな！」

すると、真っ白な衣装を着た女中達が天女のように舞いながら現れて、真ん中から作物のかごを持った無一郎が白兎の様に跳びながら表れた。

かごを祭壇に捧げると杏寿郎の周りを何周か飛び回り杏寿郎のもとに向かった。すると、杏寿郎は無一郎を月に向かって放りあげた。

「これは高い！月に向かって飛んでいるようだ…えっ」

「消えた！？」

高く飛んだ無一郎の姿は一瞬で闇夜に消えた。