炎柱と火の鳥４ (ページ38)

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白兎の館③ ページ38

子兎は微笑み、二人に部屋を貸すことにした。だが…

何故俺達が鬼殺の任務で来たと知ってる…この屋敷の者には誰にも話してないはずだ…

「あなた達は鬼殺隊炎柱、煉獄槇寿郎、杏寿郎…」

「何故俺達の名前を知ってる！」

「子兎様は人の背景が見えるのです。それ故に屋敷に滞在するのを許しました」

「背景だと！？」

「はい。あなた達が人に害するものではありませんでしたので屋敷に送っていただきました。あの時私は暑さにやられて具合を悪くしてしまいました。」

暑さに…杏寿郎達が子兎に会ったとき、子兎は時透のようなブカブカの服に手袋をして顔を隠していた。あの日差しのなか、そんな服装では熱中症になってもおかしくない…そう思っていたら…

子兎は顔を隠していた布を外した。その顔は雪のように真っ白な髪と肌、南天のような赤い瞳…

「子兎様は生まれつき肌と髪が白いのです。そして太陽の光に弱く、日光にあたると皮膚が赤くただれてしまうのです…」

「…白子(しろこ)か。」

「おっしゃる通りです。故に外に出るときは日に当たらぬよう日傘をさしていかなければなりません。子兎様、このような暑い日には外に出るのは控えてください。」

「ごめんなさい宇佐見。今日は姐さんの命日だったからどうしても花を捧げたかったの。」

「そうでしたか…」
子兎は寂しげな顔をしていた。

「ここに泊まるに当たっての注意事項を話させていただきます。まず、屋敷に来る兎達と女中の方々には危害を加えないでください。…子兎様が滞在を許可した者でありますので大丈夫ですね。
　それから申し訳無いのですが、ここは女所帯のため浴場は利用できないので他所での入浴をお願いします。
　ここには子兎様に用があり、屋敷を訪ねてくる者もいますがあまり揉めぬようお願いします。」

「わかった。付近に大衆浴場があったから入浴はそこで済まそう。」

「ありがとうございます。」

こうして、二人は任務中の宿を確保することができた。

「子兎様、宇佐見様。お客様がお見えになりました」

「わかりました…今向かいます……槇寿郎殿、杏寿郎殿。失礼します」

子兎は重そうに腰をあげた。すれ違い様に宇佐見も二人に頭を下げた。

「客人か…あまり歓迎されてない相手のようだな。」

「どんな客人なのだろうか」

二人は子兎の部屋をあとにして部屋に戻るために廊下を歩いていた。

『ふざけるな！認めんぞ！』

離れらしき小屋から男の怒号が聞こえた。