訪問者達 ページ22
二人が金成の眠る墓に手を合わせてから数日後、Aは宿のお婆さんの手伝いが出来るようになるまで回復していた。
「大分体調も良くなりましたね。体の方はもう心配ありません。宿を手伝うことはいいことです。けれど時には外に出て散歩をして下さい」
胡蝶から外出の許可がおりた。
「はい。ありがとうございます。胡蝶様」
「では、私はこれで…失礼します。」
胡蝶はAと別れた。
「あの、胡蝶様……Aを診ていただきありがとうございました。」
「体の方は良くなったけど、記憶の方はまだ戻ってないわ。徐々に思い出せれば良いのだけれど……Aは鬼殺隊を除隊しました。お館様の意向により、記憶を取り戻してもAが鬼殺隊に戻ることはありません。…Aをよろしくお願いします。」
「承知しました。」
「私達も時々Aに会いに行きますね。」
「はい…お待ちしています。」
お婆さんは頭を下げた。
翌日、Aのもとに二人の男女が訪ねてきた。
「ようこそいらっ「Aちゃん！」」
いきなり桜色の三つ編みをした女の人に抱き締められた。
えっ…何？
「甘露寺、離してやれ。」
「ごめんなさいAちゃん。久しぶりだったからつい……体は大丈夫？」
「はい。あの…どこかでお会いしましたか？」
桜色の三つ編みの女の人が悲しい顔をした…
「あの…」
「いいのよ…大丈夫。元気そうで良かった」
白い蛇を首に巻いた男も寂しそうな顔をしていた。
「もしかして、鬼殺隊の人ですか？」
「俺は蛇柱の伊黒、それと鏑丸。ゆっくり思い出せばいい。無理するな。」
「私は恋柱の甘露寺蜜漓よ。」
「はい…その、よろしくお願いします。伊黒様、甘露寺様…」
あとから聞いた話だと二人は胡蝶様と同じ柱で鬼殺隊の偉い人達のようだ。次の日から連日のように色々な人が私を訪ねてきた。
傷だらけの男と髪の長い男の子
派手な飾りをつけた男と左右で模様の違う羽織を着た男と念仏の羽織を羽織った大男が宿を訪ねてきた。
みんな柱の人達で私の事を知っているようだ。だけど何も思い出せない…
それから、緑と黒の市松柄の羽織の少年と黄色い髪の少年、猪の少年も来てくれた。
それからツインテールの女の人と落ち着いた雰囲気の女の子……それから胡蝶様と共に三人の女の子。皆、胡蝶様の所で仕事をしているそうだ。…前にその蝶屋敷というところでお世話になったらしい。
だけど、思い出せない…
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作者名：緋酉 | 作成日時：2021年1月30日 21時
