藤の家紋の宿 ページ19
話し合いによりAの除隊と空いた炎柱の後任(再就任)が決定した。
「では、杏寿郎が担当していた地域を任せたよ槇寿郎」
「はい。慎んで勤しみます。」
「杏寿郎は隠としてこれからも頼んだよ」
「はい!影ながら鬼殺隊を支えていきます!」
「では、二人が不在の時は千寿郎君の所に向かいますね。」
「甘露寺が行くなら俺も行こう。」
「二人とも、子供扱いしなくても千寿郎君は大丈夫よ。まあ、時々訪ねるのはいいのでしょう。いまや煉獄家は竈門君たちの立ち寄り所にもなってるから」
「そうだな…」
こうして話し合いが終わり、Aの除隊の連絡をするために槇寿郎が藤の家紋の宿へと向かった。杏寿郎が俺が行くと言ったが、Aを混乱させるかもしれないと胡蝶から止められた。
その後、槇寿郎は藤の家紋の宿へと向かった。その背には炎柱の羽織がかかっていた。
「この度の話し合いでAの除隊が決まった。」
「左様ですか…承知しました。」
「お館様はAには幸せになってほしいと言っていた。落ち着いた頃に杏寿郎もここを訪ねてくるだろう。」
「それまでにAも元気になっているといいですね。」
槇寿郎は藤の家紋の宿を後にするとある場所へと向かった。
倒れた篝火の台と小さな墓……緋酉の墓だ。槇寿郎は墓の前で手を合わせた。
「Aは無事に目を覚ました。だが鬼殺隊に関することと緋酉の事の記憶を失ってしまった。杏寿郎には何の影響もなかった…代償を負ったのはAだけだった…」
『………そうか…Aは目を覚ましたか』
「緋酉!?」
槇寿郎の前には緋酉が立っていた。よく見ると背後の景色が透けて見える…幽霊か
『似たようなものだ。それに姿を保てるのはこの空間のみだ。あの時はすまぬな、炎呪から火の鳥が解き放たれここに戻ってきた故に他の者がここに来ぬよう道を封印していた。封印された道を進むにはAの持つ小刀が必要だった。杏寿郎が小刀を持ってここに来ようとしたときはまだ早かった』
「早かっただと?」
『私は火の鳥の舞を通してAの肉体を取り戻そうとしていた。だがそれは肉体のある者でないといけなかった。杏寿郎にここから声を飛ばしながら火の鳥の舞を会得してもらい、舞が馴染んだ頃にここに呼んだ。杏寿郎は無事にAの心と体を呼び戻すことができた。』
「だが、記憶を失ってしまったな…」
『ああ…』
緋酉は寂しげな顔をしていた。
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作者名:緋酉 | 作成日時:2021年1月30日 21時