炎呪と弥碧 ページ12
杏寿郎の攻撃が化け物を斬った。緋酉の師範から呼吸や血鬼術は使えないと聞いていた。だが使うことができた…
ふわっ…
杏寿郎の着けていた櫛に雀くらいの小さな鳥が止まっていた。
「いつの間に何故こんなところに鳥がいるんだ」
鳥は杏寿郎の手の上に止まった。まるで炎のような色の翼だった。
『ぐぞっ…火の鳥さえあれば…』
化け物が崩れると中から忘れられない鬼が出てきた。Aを連れ去り、鬼にした……
「炎呪!」
『あの時、火の鳥さえ留められていれば俺は崩れなかったのに…おのれぇ…』
炎呪は立ち上がると杏寿郎を睨んだ。
「それは自業自得だろ!Aや緋酉を苦しめてまで、お前は何故火の鳥を狙っていたんだ!」
『俺は鬼舞辻を超えた鬼になるために』
「違うな……」
『何が違う……俺は火の鳥を……その鳥を寄越せぇ!』
炎呪は杏寿郎に掴みかかった
「よせっ!」
ぱさっ
揉み合いになったとき杏寿郎の懐から玉飾りの包みが落ちた。炎呪はそれを奪うと杏寿郎から離れた。
『何を大事そうに持ってると思ったら…石ころか』
「返せ!俺はそれを弥碧と言うものに渡すんだ!」
『みた…ま………み、た…………うぐっ…』
突然炎呪は激しい頭痛に襲われ頭を押さえた。
『………みど、り…』
まさか…
「何故その名前を…俺は翠という女に頼まれたんだ…」
『ぐぁぁぁ……』
炎呪は頭を抱えて叫んだ
そうだ……俺が火の鳥を探していたのは…
ーーーーーーーーーーーー
俺が人間だったころ、俺は宮中のまじない師として働いていた。
夜は鬼が出て危険なため結界を作ったり、鬼の居場所を特定して兵に情報を伝えていた…
毎日が変わることなく灰色の世界だった。そんなときに現れたのが宮中に新しい侍女として入った女だった…誰にでも変わらず親しく話す女で俺にも親しく話をかけて…
気がつけば俺は彼女のことを愛してしまった。だが無情にも彼女は妃の一人として召し上がられ雲の上の存在になってしまった。彼女が幸せならそれでいいと思った…だが彼女は死んだ。身に覚えのない罪を着せられて…生きながらにして焼かれた
主の寵愛に嫉妬した他の妃によるものだった。不貞の濡れ衣を着せて…
その後俺は呪術を使い主と他の妃達を呪い殺した。俺は疑われたが証拠がなく俺は追放された。
富も地位もいらない……翠さえいればそれでよかったんだ…
そして、俺は鬼舞辻に鬼にされて…
それから…
それから…俺は
55人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:緋酉 | 作成日時:2021年1月30日 21時