Episode 7 ページ8
”死にたくもないのに死んでしまったこと？
国を守れなくなったこと？実質的に公安警察を辞めなくてはいけなくなったこと？
大事な仲間を残して死んでしまったこと？
組織のこと？公安のこと？
それとも、彼奴が可愛がっていた姫宮のこと？
もしかするともしかして、俺のことだったりするのか？”
ぼんやりと考えていると、いつの間にか白紙の報告書にはそう打ち込まれていた。
慌ててバックスペースキーでその文字を消去する。綴られた文字は、一瞬にして無かったことになる。報告書は、また元の白紙へと戻った。
「……しっかり休もう……」
無意識にそんなことを打ち込んでいた自分に驚く。きっとまだ疲れが取れていないのだろう。そう言えばさっき、部下に心配された。『隈が酷いですよ。ちゃんと休んでますか？』と。
俺はそいつに問いたくなった。お前は幽霊がいる部屋で安心してぐっすり眠れるのか？
「…幼馴染だったんだろ？」
「ああ、そうらしいな」
「降谷さんの背中を追って公安になったとか」
「犯人は捕まってないのか？」
「恐らく片桐さんが潜入していた組織の人間――らしいぜ」
「ったく、降谷さんを置いて逝くとはな……姫宮さんも――＊＊も」
不意に、部下たちの会話が聞こえてきた。
最後の名前は上手く聞き取れなかった。けれど、部下たちが誰のことを言っているのかは察しが付く。
屋上で、自らの心臓を撃ち抜き、死んだ男――
彼奴は死を選ぶような男じゃなかった。彼奴にそうさせたのは、FBIの
嫌なことを思い出してしまった、と俺は頭を左右に振り、哀しい思い出を振り払う。
「降谷さん、大丈夫なんですかね」
「何がだ？」
「俺は、怖いです。降谷さんが、無理して、壊れてしまうんじゃないかって」
「……そうだな」
”壊れてしまいそう”か。
部下の話に聞き耳を立てながら、俺は一人考える。
始めて、任務で人を殺した日。
俺はこんなことをするために警察になったんじゃないと、泣いた。苦しかった。仕事だといえど、罪のない人間を殺すのは苦しかった。
伊達が死んだ日。松田が死んだ日。スコッチが死んだ日。Aが死んだ日。
悲しくて、辛くて、心に大きな穴が開いたような気がして――
何度も何度も、壊れてしまいそうになった。
全てを投げ捨てて、消えてしまいたいと思った。
俺の大切な人が死んでいく。なのに俺は、独りのうのうと生きている――…
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零ーﾚｲー少しの間低浮上(プロフ) - あいうえおさん» 閲覧＆コメント有難うございます！うわ〜ほんとですか;つД｀)ありがたいお言葉感謝します！！少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです♪ (2018年1月25日 20時) (
レス) id: 4f7e7a51d9 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 号泣しました。本当にいいお話で感動しました。 (2018年1月25日 17時) (レス) id: 3fd6742cd5 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲーついった始めました(プロフ) - cherryさん» ありがとう~~~！！勿論そっちも頑張るよ！！これからも応援よろしくお願いします！！！(*^▽^*) (2017年7月24日 15時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
cherry(プロフ) - 完結おめでとう！大好きな作品が終わっちゃうのは寂しいけど完結まで読めてとっても良かったです。もう１つの作品も頑張ってね！ (2017年7月24日 15時) (レス) id: 84049ed362 (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲーついった始めました(プロフ) - cherryさん» ふわあああああありがとうありがとう（泣）そんな風に言ってもらえてうれしいよ~~！！！伝わればいいな、って思って書いたものがちゃんと伝わってるって嬉しいね（泣） (2017年7月19日 18時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零ーﾚｲー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時：2016年11月29日 23時
