【名探偵コナン】 勿忘草の花言葉 【安室透】

Episode 24 ページ26

その後、スコッチから聞かされたのは、どれもこれもが驚きの事実だった。
それはきっと、スコッチとライしか知らない真実。悲しい真実。

『じ、じゃあ赤井は、零を守るために……、』
『多分、な。不器用な奴だから……きっとそうするしかなかったんだろう』
『そんな……赤井は何も、悪くなかった……！寧ろ零を守ってくれた恩人なのに。なのに私、あれからライに酷い言葉ばかり……！』


”どうしてスコッチを助けてくれなかったの！”
”組織の裏切者を助ける程俺は優しくないんでな”
”何が裏切者よ！自分だってNOCだった癖に……”
”騙される貴様等が馬鹿なだけだろう？”
”ふざけないで！FBIなんでしょう！？彼一人を逃がすくらい、どうってことないはず……”
”俺は俺の任務を最優先する。そんな危険を冒してまで、裏切り者を助ける程俺は優しくないと言っただろう”

”だったら……組織の人間として、裏切り者を始末するわ。私が……この手で”
”組織の人間が殺人に私情を挟んでいいのか？”
”構わない……どうせ裏切り者を殺したとて、私に被害は来ない……寧ろ上の方から感謝されても良いくらい”
”強がりはよせ……どうせお前には俺を殺すことは出来ない”
”どうしてそう言いきれるの？私にだって……”

”私に、だって……ッ、……ぅぁああああッッッ！！”


『煽るような言葉も、全部自分が殺したと見せかけるために……』
拳銃を向けた時のライの表情が忘れられない。
つんと気取ってはいたが、瞳は何処か悲しそうな色を湛えていた。

私は結局、ライを撃つことは出来なかった。
自分もNOCだという立場を除いてもだ。少しの間だけ、仲間――所詮偽りではあるが――として過ごした人間を、容赦なく撃ち殺せるほど私は腐っていなかった。

あのとき、もしも、感情に任せて引き金を引いていたらと思うとぞっとする。

『赤井に、謝らなきゃ……お礼、言わなきゃ』
『……そうだな』

『一番謝らなきゃいけないのは、俺だけどなあ……』
『スコッチは、悪くない……』
『折角止めてくれたのに、俺が零の足音を聞いて早とちりしたから……』
『仕方ないよ、あの状況じゃ……』

『……このこと、零には言うなよ？』
『勿論！分かってるわよ、そのくらい……』

お互い、少しの間黙り込む。
何て言えばいいのか分からなかった。
だって、こんなの、悲しすぎる。
このままじゃ、零の所為でスコッチが死んだって言っても過言ではない。

勿論誰も、そんなことは思ってなかったけど。

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