【名探偵コナン】 勿忘草の花言葉 【安室透】

Episode 11 ページ12

「はあ……俺は少し仮眠する。お前は好きにしておけ。ただ心配だからあまり遠くへは行くなよ、俺が目を覚ますときには家に居てくれ」
『子ども扱いしないでよ！』
俺は自室に入ると、スーツを脱ぎ部屋着代わりの白いスウェットへと着替える。
ふかふかのベッドに横たわり、瞼を閉じると、日頃の疲れからかほんの数秒で睡魔に襲われる。
折角休みを貰ったんだから、今日くらいは休めという自分と、折角休みを貰ったんだから、もっと有意義に使え、まだ明るい時間帯から眠るなんて勿体ないという自分が脳内で戦争を始める。
しかし、その結果を知るまでもなく俺は夢の世界へと引きずり込まれた。





『――い、れい、ねえ、零ってば！』
騒がしい彼奴の声に目を覚ます。いけない、思っていたよりぐっすり眠ってしまっていたようだ。
『携帯、携帯なってるよ』
「あ、ああ、すまない」
着信相手のところには”風見”の文字。どうしたのだろうか、こんな時間に。そう思いながら受話器のマークをタップする。
「どうしたんだ？風見」
『降谷さん！体調は大丈夫ですか！？』
端末の向こうからは、俺の体調を確認する妙に切羽詰まった風見の声が聞こえた。
「ああ、問題ない。心配をかけたな」
『では至急警察庁に戻って下さい！大変な事態です、降谷さんがいないと駄目なんです！』
別れる寸前の彼女みたいな台詞を吐く風見を一旦落ち着かせ、何があったのかと詳しい事情を確認する。
『何者かが侵入しました』
「――は？」
『警察庁内に、何者かが侵入しました！NOCリストを狙っている模様、早く対処しなければ大変なことに――』
風見の言葉に、眠気なんて一気に覚める。
「分かった、すぐに向かう！」
電話を切り、先ほど脱いだばかりのシャツを手に取る。床に無造作に置かれていたため、少々皺になっているがそんなことは気にしてられない。

『……で、なんだったの？』
心配そうに此方を見るAに、早口で事態を説明する。
『―――まさか』
「ああそうだ、これがベルモットの言っていた”大変なこと”だったという訳だ！」
『じゃあ、侵入者は、キュラソーだってこと！？』
「十中八九そういうことだろうな」
『不味いわ、一般人が彼女の身体能力に敵うはずがない！NOCリストが組織の手に渡るのも、時間の問題――！』

「”一般人”ならな。生憎俺たちは公安警察だ」
俺はジャケットを羽織り、車のキーを手にする。
「必ずとっ捕まえてみせるさ。我々の力を舐めないでもらいたい」

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