#07 ページ8
「今日はみんなで遊園地♪楽しい楽しい遊園地♪」
「あ、あはは……」
精いっぱい笑顔を作ったつもりだったが、出てくるのは乾いた笑い声。
「どうしよう安室さん、まだ行きの車の中なのにもう限界」
「我慢してください。訓練だと思って」
「無理があります」
「限界だと思うから限界なんです。限界だと思わなければ限界じゃないんです頑張ってください」
「………」
私の表情筋はさっきから笑顔の形のまま一ミリも動いていない。
今ここで笑顔を崩すと、おそらく素が出てしまう。潜入捜査官としてそれだけは避けたい。
「なあ、何が限界なんだー？」
いけない、聞かれていたのか。小声で話していたつもりなのに。
「あー…えーっとね、そう、お腹！お腹すいちゃって！もう限界だなーって！ね！安室さん！」
「ええ、僕もさっきからお腹なっちゃって……」
「なあんだ！そんなことなら俺もさっきからずっとなりっぱなしだぞ！」
「もー元太君ったら！おやつ食べたでしょー？」
「そーですよ！また太っちゃいますよー！」
皆からの言葉に、しょんぼりとなる元太君。…うん、確かに、君はもう少し痩せた方がいいと思うな。
「そういえば、菜月おねえちゃんって安室さんの彼女なんだよね？」
突然の歩美ちゃんの一言に、車内全員の視線が私たちに注がれる。
「え……あ、まぁ、ね」
「なんで安室さんのこと透って呼ばないの？」
「んー…なんとなく…ね」
「そー言えば安室の兄ちゃんも菜月ねえちゃんのこと名前で呼んでないよな！」
なんでー？
子供たちの澄んだ瞳が突き刺さる。
「そんなこと言って……どうせ家では名前で呼びあってるんでしょ？ラブラブさん……」
「ちょ、ちょっと哀ちゃん……」
欠伸をしながら面倒くさそうに言う哀ちゃん。でも、残念。その推理は外れだ。
私たちは、決して相手のことを名前で呼ばない。
それは、私たちの暗黙のルールのようなもの。
皆の前では「安室さん」。プライベートでは「バーボン」。
皆の前では「姫野さん」。プライベートでは「レナ」。
いくら恋人のフリをしているといっても赤の他人。ちゃんと一線は引いておきたいのだ。
二人で決め合った訳ではないが、いつも間にかそうなっていた。
仕事―――本業の方でも喋る機会はほとんどないから、本名で呼ぶこともない。
バーボンに「A」って呼ばれたのは、一体何年前だったかな。
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零ーﾚｲーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧＆コメント有難うございます！本当ですか！嬉しいです( *´艸｀)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (
レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました！新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧＆コメント有難うございます！神作品！！？うわああ有難うございます！！感激です……！ (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました！とても面白かったです！！コナン好きな私にとっては神作品でした！！お疲れさまですヽ(*´∀｀)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧＆コメント有難うございます！神だなんて……私なんて全くですよ；；お褒めの言葉ありがとうございます！ (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零ーﾚｲー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時：2016年5月26日 18時
