#42 -Kuromiya side- ページ43
胸の上で咲き乱れる真っ赤な花は、次々に蕾を膨らませ花を咲かせる。そして次々に枯れていき、その花は地面へと落ちていく。
ぱたたっと音を立てて血が滴り落ちる。
立っていられなくなり、私は倒れこんだ。
「レナ!おい、馬鹿ッ!聞こえるか、レナ!」
彼が私を抱え、必死に名前を呼ぶ。いつもは余裕の表情なのに、今はこんなに焦った表情なのが却って可笑しかった。
「……何故庇った?」
ジンが私を見下ろし尋ねる。私は目を閉じ、微笑む。
「
私の声が倉庫に響く。
「バーボン、スイート・ベルモット、ドライ・ベルモット、カンパリ、ガリアーノ…が5:2:1:1:1の割合。――私には、バーボンがなくちゃ駄目なのよ」
「そんな、だからって――」
私は目を開き、しっかりとバーボンと目を合わせる。
「――――――れい」
掠れた、蚊の鳴くような声だったけど、ちゃんと貴方に、届いたかな。
久しぶりに口にした貴方の名前に、思わず涙が零れる。どうやら泣き虫なのは私の方だったようだ。
「言ったでしょ?」
『誰がれい君のことを嫌いっていっても、わたしは、ずっと――――、』
「私はずっと、零のことを”守る”って!」
幼い日の思い出だ。きっと貴方は、覚えていないだろうけど。
零の綺麗な瞳から、一筋涙が零れ落ちる。
「…駄目でしょ?泣いたら先生に怒られるよ?」
冗談めかしてそう言ったら、零も泣きながらだけど、確かに笑ってくれた。
くしゃくしゃなその笑顔にそっと手を伸ばす。
零の頬をつたう涙を親指で拭うと、零はもう一度笑った。
「―――ッ、ガハッ、」
苦しくなり、血を吐きだしてしまう。
その血を見て、零はまたあたふたと慌て始める。
「おい、大丈夫か!い、今救急車を……」
私たちを嘲笑いながら見物しているジンとウォッカ。
「安心しろ、バーボン…お前もレナと同じ末路を辿らせてやるよ…」
ピリリリリッ
場違いな着信音が鳴り響いた。
ジンは電話に出ると、一言二言相手と話し、チッと舌打ちをした。
「…ベルモットからだ。あの方からの命令でバーボンはNOCではない。殺すな、と。」
きっとコナン君だ。ホッとして息をつく。
何だろう、安心したからなのか、目の前が暗くなってきた。
(ああ、ここで、死ぬんだな)
後悔はしていない。
けど―――
『ずっと好きだった』
貴方に一番伝えたかった言葉は、もう貴方に届くことはなかった。
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零ーレイーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧&コメント有難うございます!本当ですか!嬉しいです( *´艸`)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました!新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧&コメント有難うございます!神作品!!?うわああ有難うございます!!感激です……! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました!とても面白かったです!!コナン好きな私にとっては神作品でした!!お疲れさまですヽ(*´∀`)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧&コメント有難うございます!神だなんて……私なんて全くですよ;;お褒めの言葉ありがとうございます! (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年5月26日 18時