#41 ページ42
私はジンに数歩歩み寄る。
ジンはその手に持っていた一丁の拳銃を投げて寄越し、くいっと顎でバーボンを指した。
「撃て」
そう一言だけ言ったジンは、なんだかとても楽しそうで。
自分の手に押さまる鈍く光る拳銃は、何故だかいつもより随分と重く感じられた。
「…何故？」
「裏切者の制裁だ」
「彼は裏切者ではない」
「バーボンを撃つことによってお前がNOCでないという証明にもなる」
けどまあ、そんなことは出来ないんだろうがな。
ジンの顔にはそんな風に書いてあるようだった。
皮肉なものだ。
彼を殺して、私だけは助かるだなんて。
NOCでない証明になるだなんて。
私は銃を構える。
手が震えて上手く的が定まらない。
”早くしろ”
バーボンは唇の動きだけでそう伝えてきた。
(出来るわけ、ないでしょ…)
バーボンはゆっくりと立ち上がった。手錠のせいで体の自由はきかないが、出来るだけ左胸をこちらに向けて、心臓を狙いやすくしてくれている。
バーボンの意志は固かった。早く撃てと、覚悟を決めたその目が語っている。
私は引き金に指を掛けて――――
拳銃を下に、降ろした。
「やはり愛する彼氏は撃てないか？」
馬鹿にするようにジンは笑う。私はキッとジンを睨みつけ、拳銃を放り投げた。
「罪のない人間を殺められるほど、私は腐っていないだけよ」
「レナ！」
バーボンが驚いたように名前を呼ぶ。
「…出来ないものは、出来ないのよ」
その言葉はジンに向けて放ったものなのか、それともバーボンに向けて放ったものなのかは自分でも分からない。けれど、私はこの手でバーボンを殺めるつもりなど毛頭無かった。
「……そうか。なら俺が鉄槌を下してやるとしよう」
ジンは黒いコートの内側に手を入れ、そこからもう一丁拳銃を取り出した。
愛用のベレッタを構え、もう一度厭らしくにやりと笑う。
「さらばだ、ゼロ」
男の癖に、長く綺麗な指が引き金に掛けられる。
私と違い、何の躊躇もなくバーボンを―――――――
「やめてッ！！！」
私が飛び出すのと、銃声が聞こえたのはほとんど同時だったと思う。
バーボンの左肩を抱き、抱きしめるような体勢で彼の前に飛び出した私。
「れ、レナ、」
耳元でバーボンが息を飲む音が聞こえた。私を呼ぶバーボンの声は震えていて、いつもより弱々しく聞こえる。
ああ、そんなことよりさっきから胸の辺りが痛い。焼けるように痛い―――
私の胸から舞い落ちる、紅い、朱い、赫い、赤い、真っ赤なこれは―――――
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零ーﾚｲーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧＆コメント有難うございます！本当ですか！嬉しいです( *´艸｀)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (
レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました！新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧＆コメント有難うございます！神作品！！？うわああ有難うございます！！感激です……！ (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました！とても面白かったです！！コナン好きな私にとっては神作品でした！！お疲れさまですヽ(*´∀｀)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーﾚｲー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧＆コメント有難うございます！神だなんて……私なんて全くですよ；；お褒めの言葉ありがとうございます！ (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零ーﾚｲー | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時：2016年5月26日 18時
