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――――一方、部屋に取り残されたベルモットは。
呆れたようにふうと息をつくと、右側の口角を少しだけ上げ、微笑んでみせた。
「せいぜい足掻きなさい、哀れな
車に飛び乗ると、勢いよくエンジンを踏む。
急発進する私の愛車。このスピードじゃ見つかったらスピード違反で捕まってしまう。警察が捕まるなんて言語道断だけど、今はそんなこと言ってられない。人の命がかかっているんだもの。
海沿いの木造倉庫。五つくらい並んだそのうちの一つに、車を走らせる。
私は片手でハンドルを握ると、空いた方の手で胸ポケットからスマホを取り出す。電話の相手はコナン君だ。
プルルルル…という短いコール音が数回続いた後、少年の声が聞こえた。
『姫野さん!?こんな時間にどうしたの?』
「夜遅くにごめんね!頼みたいことがあって」
『うん、』
「バーボンの命が危ないの!どうにかしてバーボンがNOCではないと組織の奴らに思わせる方法は無い?」
『ええ…!?命が危ないって、一体何が…』
「詳しいことを話している時間はないの!兎に角お願い!早く!!」
『…分かった。姫野さんも無理はしな―――』
パァンッ!
目の前に見えてきた倉庫から、一発の乾いた銃声。
体の力が抜け、耳に当てていたスマホが床に落ちる。
『姫野さん!?どうしたの、姫野さん!』
暗い車内、スマホの白い光だけがぼんやりと浮かぶ。
まだ通話中のそのスマホからはコナン君の呼ぶ声が聞こえたが、気にしている暇はなかった。
シートベルトを外そうとするが、手が震えてうまく外せない。
「落ち着け、落ち着け…!」
撃たれたと決まった訳ではない。威嚇射撃かもしれない。そう言い聞かせ、よろけながら第三倉庫へと走る。
重い木の扉を開けると、そこには手錠で繋がれたバーボン。と、ジン、ウォッカの姿があった。
「バーボン!」
窓から入る月の光に淡く照らされたバーボンの体は傷だらけで、殴られたり蹴られたり、きっと酷い暴行を受けたのだと推測できる。
バーボンの右肩からは血が噴き出している。きっとこれがさっきの銃声のときに撃たれたところだ。
「…レナ?何故ここに…」
「喋っちゃ駄目!傷に響くわ」
私はポケットから白いハンカチを出し、傷口に当てる。ハンカチはみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
「何故ここが分かった?…まあいい、バーボンの運命は彼女に握らせてやるとしよう」
ジンがにやりと厭らしく笑う。体中が粟立つような嫌な感じがした。
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零ーレイーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧&コメント有難うございます!本当ですか!嬉しいです( *´艸`)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました!新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧&コメント有難うございます!神作品!!?うわああ有難うございます!!感激です……! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました!とても面白かったです!!コナン好きな私にとっては神作品でした!!お疲れさまですヽ(*´∀`)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧&コメント有難うございます!神だなんて……私なんて全くですよ;;お褒めの言葉ありがとうございます! (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年5月26日 18時