#26 ページ27
「キュラソー?」
奪った車を猛スピードで走らせる彼女を追いながら、私はバーボンに説明する。
「そう。組織にいた頃何度か一緒に任務をしたことがあったの。人並み外れてる身体能力と、瞬間記憶能力を持っている」
「つまり彼女―――キュラソーはノックリストをあの短時間ですべて記憶していると?」
「おそらくそういうこと。彼女は組織にその情報を報告するはずよ。その前に捕らえないと…」
「……大変なことになるな」
バーボンは疾走する彼女の車に追突する。
ガンッと互いの車が揺れる。その衝撃でキュラソーが打っていたメールが送信されてしまった。
『ノックはスタウト、アクアビット、リースリング。あなたが気にしていたバーボンとキール』
彼女がメールを送信してしまったことを知る術は無い。このメールのせいで隣の彼が危険な目に合うとも知らず、私たちは彼女を追う。
「車を止めろ!」
窓越しにキュラソーと目が合った。ほんの少し、驚いたように目を見開く。私たちが組織の人間だと気付いたのだろうか。
しかし、そんなことはお構いなしとキュラソーも負けじと体当たりを仕掛けてくる。それをバーボンはギリギリでかわす。ギギギギギ…とタイヤが悲鳴をあげた。
「!?」
せめぎ合う二台の車、ちょうどRX-7の真横にぴったりとつけてきた赤いマスタングが見えた。
「誰だ…ッ!?」
バーボンもそれに気付いたのか、ハッと窓越しに相手を睨みつける。
目が合ったのは―――――
「赤井!!」
(赤井…秀一!?)
バーボンが常日頃”殺したいほど憎んでる相手”と罵る彼だった。
彼のせいでスコッチが死んだと。彼ならスコッチを助けられたはずだと。泥酔したバーボンが漏らしたことがあったな、と思いだす。
RX-7を振り切り、また疾走した車を逃がすまいと追いかける。と、その前にマスタングが割り込んできた。
「下がれ、赤井!ヤツは公安のモノだ!」
ガンッ、と、今度はマスタング―――赤井の車に右車体を当てる。車が揺れ、今度こそ吐いてしまう、と口を押さえた。
そうこうしている間にも、キュラソーの車は道路を走る無関係の車にまで体当たりを仕掛ける。あたりに無数のクラクションが鳴り響いた。
刹那、キュラソーの車にぶつけられ、トラックとキュラソーの車に挟まれた軽自動車が大きく跳ね上がり、こちらに向かって飛んでくる――――!
空を舞う車を見上げ、体が固まる。隣でバーボンが息を飲む音が聞こえた。
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零ーレイーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧&コメント有難うございます!本当ですか!嬉しいです( *´艸`)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました!新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧&コメント有難うございます!神作品!!?うわああ有難うございます!!感激です……! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました!とても面白かったです!!コナン好きな私にとっては神作品でした!!お疲れさまですヽ(*´∀`)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧&コメント有難うございます!神だなんて……私なんて全くですよ;;お褒めの言葉ありがとうございます! (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年5月26日 18時