【名探偵コナン】 Lena 【安室透】

#24 ページ25

「ん〜っ……ばかい……ばかいしゅういち……」
「バーボン、自分で歩いて」
「だ、大丈夫ですか降谷さん」

ぐでんぐでんに酔っぱらったバーボンを風見と私で担ぎながら帰宅。風見には迷惑をかけてしまった。今度奢りに行かなければ。

「ほら、着いたよ」
「ばかいめ……！おまえのすべてがにくたらしい！そのながいかみもすましたかおもにくたらしい！！」
「ごめん、風見。送ってもらった上に酔っぱらいの面倒までみてもらっちゃって」
「いえ！降谷さんの面倒ならいつでもみますよ！」
「あ…あっ、そう…」

思わず苦笑しながらバッグから家の鍵を取り出し鍵穴に差し込む。
ありがとう。お礼を言ってから私は一人バーボンを担いで部屋へと入る。勿論鍵を閉めることも忘れない。

「バーボン、重い。ほんと重いから」
「う〜〜〜〜…」

耐えきれずベッドの上にバーボンを投げ飛ばした。痛く無かっただろうかと心配したが、本人はいたって心地よさそうに寝息を立てていた。

「ああ……」

全身にのしかかっていた重みが無くなった瞬間、どっと疲れが押し寄せる。
私も随分飲みすぎていたようで、着替える間もなくベッドに倒れこんだ。刹那、耐えられないほどの睡魔に襲われる。

(駄目だ、まだお風呂入ってない…着替えてもない……)

しかし睡魔には勝てず私の瞼は静かに降りていった。
今日がスーツじゃなくて良かった。意識が落ちる寸前に思ったのはそんなことだった。




「……あ、ああ、分かった。二人ですぐに向かう」

バーボンの声で目が覚める。体を起こし、自分の服を見降ろすと予想通り皺だらけで、スーツじゃなくて良かった、なんて昨夜と同じことを思う。頭がズキズキと痛むのは二日酔いのせいなのか。

「頼んだぞ、風見」

ベッドに座り、真剣な表情のバーボンが電話している相手は風見の様だ。何があったのか、と尋ねると彼は電話を切り何処か緊張したような面持ちで一言告げる。

「ノックリストが危ない」

と。

「取りあえず俺たちはノックリストを守ることに全力を尽くす。お前も早く着替えろ」

突然の出来事に痛い頭が更に痛くなる。けど、大変な何かが起こってしまったことだけは理解できた。
ノックリストが盗まれてしまったら…？その時は私だけじゃない、バーボンの命も、世界中の潜入捜査官の命も危なくなるときだ。
それだけは阻止しなければ。慌ててベッドから跳ね起き、着替えようとポロシャツを手に取った。

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