#22 ページ23
「どうぞ」
目の前に置かれたグラスを手に取り、ゆっくりと口に含む。久しぶりのお酒だ、今日は少し飲みすぎてしまうかもしれない。
「最近、どうだ?」
「何が?仕事?組織?バイト?」
「全部だ、全部」
バーボンもグラスに入ったその液体を口にする。喉が微かに上下するのが見えた。
「別に…いつも通りだけど。任務にも問題はないし…強いて言えば、貴方のサンドイッチのおかげでポアロのお客さんが増えたくらいかな。そっちは?」
「俺もいつも通りだな。お客さんが増えたのは嬉しいが」
フッ、と柔らかく微笑んだバーボンの顔をぼんやりと見つめる。
「…俺の顔に何かついているか?」
視線に気がついたバーボンが、首を傾げこちらを見る。
「………いや?」
私は首を振り、そう言えば、と会話を続ける。
「この前、風見がバーボンを追いかけようとしてさ、手に抱えてた書類全部バサバサって落とした上にその書類自分で踏んづけて盛大に尻もちついてたんだけど…気付いてた?」
「いや、全く。それは悪いことをしたな……俺を追いかけようと、って、その時俺は何をしていたんだ?あ、レナもう一杯お願いします」
「赤井秀一がなんたらかんたら〜って部屋を飛び出して行ったよ。そしたら風見が『待ってください降谷さん!一人は危険です!』って言うと同時に尻もちついてさ、あれは面白かったね。あ、バーボンお願いします」
「赤井秀一……ッ!アイツのせいで風見は……ッ!」
「いや、絶対関係ないでしょ?」
「FBIならその場にいなくとも風見一人を転ばすことくらい出来るんだ!アイツ、次にのこのこと俺の前に現れてみろ、ぜったいにころしてやるからな…っ!!」
話をしているうちに頬は紅く染まり、呂律も危うくなってくる。
「あかいしゅういち…!あいつならすこっちらってたすけられたはずらのに…!」
赤井への怨念の言葉を吐きながらバーボンは眠りについた。
腕を枕にしてすやすやと気持ちよさそうに眠るバーボンを起こす気にはなれず、私は一人で少し残ったバーボンを一気に胃の中へ流し込む。甘い香りが私を酔わせる。
「眠ってしまいましたか?」
小声で尋ねるマスターに、起こさないであげて、と笑いながら伝え、自分はライを注文する。
「ウイスキー、好きなんですか?」
「ええ、まぁ」
バーボンとは違う、スパイシーな風味が口内を刺激する。
バーボンが見たら、きっと『俺の前でその酒を飲むな』と怒られるから寝ているうちに飲んでしまおう。
181人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零ーレイーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧&コメント有難うございます!本当ですか!嬉しいです( *´艸`)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました!新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧&コメント有難うございます!神作品!!?うわああ有難うございます!!感激です……! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました!とても面白かったです!!コナン好きな私にとっては神作品でした!!お疲れさまですヽ(*´∀`)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧&コメント有難うございます!神だなんて……私なんて全くですよ;;お褒めの言葉ありがとうございます! (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/
作成日時:2016年5月26日 18時