【名探偵コナン】 Lena 【安室透】

#12 ページ13

「ったくお前って奴は！一体何を考えているんだ！？」
「…はい」
「知らない人についていくなんて馬鹿なのか！？」
「…返す言葉もございません」
「何でついていったんだ？お菓子ででも釣られたのか？」
「…私を何だと思ってるの」

悪夢の説教タイム。
正座させられてかれこれ数時間罵声を浴びせられている。

「…っていうか！まずは心配とかしてくれないの！？」
「…お前、反省してないだろう」
「してます！してますしてます！」

「…ったく、心配したんだからな！もしあと少し俺たちが行くのが遅くなっていたらどうなっていたことか！」

(…心配、してくれていたのか)

「レナのせいで何も乗り物に乗らないままお開きだったぞ？後でちゃんと子供たちに謝っておくように」
「はーい」
「次こんなことがあったら、もう助けに行かないからな」
「は、はーい」

説教タイムも終わり、片づけておかなければいけない書類があったと思いだし、立ち上がる。

「ッ！！？」

が、長時間の正座のせいで足が痺れて思うように動かない。足首から下がじんじんと熱を持つ。
何とか立ち上がろうと震える足を動かす、が―――
「…あッ」
かくりと膝が折れ、思わずよろける。
転ぶ、と思った瞬間、力強い腕に支えられた。

「…気をつけて」

一見華奢なようで、実は意外と筋肉のついている鍛えられたその腕に、思わずドキリとする。
「あ、…ありがとう」

お礼を言おうと上を向くと、そこには間近にバーボンの顔が。
(〜〜〜ッ！！)
体中の熱が一気に顔へと向かう。これには流石のバーボンもこたえたようで、すみません、と小さく言うと顔を背けてしまった。

「い、いや、わた、私の方こそ…」
「いや、お、俺が、きっ、急に、…」

突然の出来事に、回らない呂律でしどろもどろになりながら、慌てて身体を離す。

バーボンなんてあり得ない。
28にもなってほとんど男性経験はほぼ０。公安という出会いのない職業のせいもあるだろう、こんなことで反応してしまうのは。
男性経験が少なすぎるせいで、少し優しくされただけでドキドキしてしまうだけだ。ガキか私は。
迷惑をかけるわけにはいかないのだ。こんな面倒くさい感情を持ち込んで、バーボンの仕事に影響してしまったら大変だ。
仕事のできる優秀なバーボンと違い、私は鈍臭くて仕事も人並みにしかできない。
こんな私がバーボンの傍にいられてる、ってだけで奇跡みたいなことなんだから。


高望みはしちゃ駄目だ。何度も心に言い聞かせた。

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