検索窓
今日:5 hit、昨日:3 hit、合計:167,296 hit

#01 -Lena side- ページ2

「――――ッ!!」

思わずベッドから跳ね起きた衝撃で、ベッドのスプリングが悲鳴をあげる。

(……懐かしい…夢をみた……)

黒いスマホの電源を入れ、時間を確認すると、それはまだ目覚ましのきっちり一時間前―――午前六時をさしていた。

「酷い顔……」
画面に反射して映った私の目は、眠りながら泣いていたのだろうか、赤く腫れあがっており、涙の痕が残っている。

起きるのにはまだ早い時間だが、二度寝する気分にもなれず、私は隣で眠る”彼”を起こしてしまわぬようそろそろとベッドから這い出た。

「ん……」

しかし、先ほどの衝撃で目を覚ましてしまったのだろうか。彼の青い双眼がゆっくりとこちらを向く。

「…レナ?」
「……ああごめん、起こしちゃった?」
「いや…」

彼もまだ起きる時間ではないはずだが、ぐぅっと伸びをして彼は起きあがった。

「今日の朝食は俺が作る番だったな」

にっこりと微笑むと、彼は寝室を出て行った。
私も顔を洗おうと、洗面所へ向かう。

ざあざあと音を立てて流れる水をすくい、顔にあてると、それはひんやりと冷たく気持ちよかった。
まだぼんやりとする頭で、先ほどの夢を思い出す。

あの頃の私たちは、まだ偽りのない、純粋な…ただただ純粋な友達で。
大人になった私たちがこんなに嘘だらけの、歪んだ関係になるとは思ってもみなかったのだろう。

でも、それでも―――それでもいいと、思う自分が何処かにいる。

「ご飯、出来たぞ」
「…うん、今行く」

私は、きっと幸運なんだ。
彼が―――バーボンが、私のことをどう思っていようと私は無条件に彼の傍にいられる。
傍にいられるだけでいい…なんて女々しいことを思う気はさらさらない。けど―――


今はまだ、この偽りの関係に溺れていたい。

#02→←Prologue -? side-



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (136 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
181人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

零ーレイーついった始めました(プロフ) - 美空さん» 閲覧&コメント有難うございます!本当ですか!嬉しいです( *´艸`)頑張らせていただきます♪ (2017年8月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
美空 - この小説すごく泣けました!新作楽しみにしてます(^^) (2017年8月16日 14時) (レス) id: 611dba761a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - 4696猫さん» 閲覧&コメント有難うございます!神作品!!?うわああ有難うございます!!感激です……! (2017年1月12日 22時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)
4696猫(プロフ) - とても胸が締め付けられるような、そんな感じがしました!とても面白かったです!!コナン好きな私にとっては神作品でした!!お疲れさまですヽ(*´∀`)ノ (2017年1月12日 21時) (レス) id: 2682e5942a (このIDを非表示/違反報告)
零ーレイー(プロフ) - れいにゃんさん» 閲覧&コメント有難うございます!神だなんて……私なんて全くですよ;;お褒めの言葉ありがとうございます! (2016年10月16日 20時) (レス) id: 79ca697b23 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:零ーレイー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/list/hina99121/  
作成日時:2016年5月26日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。