思春期の子 ページ10
「実はわたしも、人よりちょっと耳と目がよくて、その体質も買われて元々隊士だったんだけど、あまりにも素質が無さすぎて、師範にガッカリされるのが怖かったから、辞めちゃったんだ。」
「師範というのは?」
「炎柱の煉獄 杏寿郎様だよ。」
「柱!!!てことは継子だったんですね?!」
「うーん、果たして正式な継子だったと言っていいのか分からないのだけど…」
あまり詳しくは話すことができないから伝えるのが難しい。
元々隊士になった経歴が少し変わっているから、そもそも師範の正式な継子だったと言えるのかどうかも自分では判断し難いのだ。
「でも師範にはとても良くしてもらったからできるだけ恩返しがしたくって。」
ありがたい気持ちと、申し訳ない気持ちがせめぎ合う中、小さく笑って、よし!この話はもうおしまい!、と間を区切れば彼も頷く。
炭治郎くん…素直でいい子だ。
「ところで、昨日のご飯、どうだった?体調や食欲は問題ない?」
「とても美味しかったです!食欲もいつも通りあるので問題ないかと!」
「そ、よかった!さっき朝の分の食事を蝶屋敷の人に預けてきたから沢山食べてね。」
「ありがとうございます!」
基本的は隊舎の厨に居るから、何かあったら声掛けてね、と彼に伝えて。
訓練の邪魔になると悪いので、帰ることに。
隊舎に帰ることを告げると我妻くんがなんか騒いでた気がするけどこの際無視しよう…。
自分がこんなことをいうのはなんだが鬼殺隊にはほんとに個性的な人しかいないなぁ、なんてこっそり思いながら隊舎に戻れば、前から玄弥くんが歩いてくるのが見えた。
「玄弥くん!」
「!!」
呼び止めた彼は耳まで真っ赤になってソワソワした後、ぺこりと小さなお辞儀をして物凄い速さで反対方向に走って行った。
「え…??」
取り残された私はポカンとするしかなくて。
「私…もしかして嫌われてる…?」
「あれはただの思春期だと思うわ」
「ひぇっ、甘露寺さん、いつの間に…」
「ふふ、ポカンとするAちゃんも可愛いわっ」
年頃の男の子って、女の子と話し辛くなる時期あるじゃない?逆にかまって欲しくていじめちゃう子もいるけど…彼は前者みたいね、可愛い!と目をキラキラさせながら微笑む甘露寺さんを横目に、そうか…普段は彼らもなんでもない普通の少年なんだもんな…と納得してしまった。
「しかしあんな勢いよく踵を返さなくても…」
打ち解けたものだと思っていた私は少しだけ落胆しながら食堂へ向かったのだった。
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ひな(プロフ) - とろ玉うどんに使われてる器さん» コメント頂き有難うごさいます。面白いと言って頂けて嬉しいです。拙い文章ですが少しずつ更新していきますのでお暇つぶしにでもして頂けたら嬉しいです。 (2020年1月11日 18時) (レス) id: bfebdd5928 (このIDを非表示/違反報告)
とろ玉うどんに使われてる器 - 凄い面白いです!一気に読んじゃいました!!!玄弥可愛い...!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: b3c78b6606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2020年1月4日 15時