世界一の ページ50
｢泣くな…｣
｢だって、嬉しいの…｣
｢お前は悲しくても嬉しくてもいつも泣いてるな…｣
そう言って笑いながら涙を拭ってくれる指はとても優しくて。
｢A、お前の口から、答えを聞きたいんだが…｣
｢そんなの、決まってる。勿論、喜んでっ｣
ぎゅ、と彼に抱きつくと、そのまま抱き締め返してくれる。
任務先の遊郭で求婚なんて、と方々には色々言われそうだが、それでもこの瞬間、わたしは世界一幸せだった。
それから2人で床に入り、色んな話をした。
わたしの耳の話とか、彼の能力の話、家族の事、それから、これからのこと。
｢任務が落ち着いて少ししたら、祝言を挙げよう。俺はまだガキだから…周囲の目を考えたら苦労をかけるかもしれないが…｣
｢そんなの平気。玄弥くんがいてくれたら、それでいい。｣
本当は祝言だって無理に挙げなくていいと言ったが、俺がお前の花嫁姿を見たい、と言われて何も言えなくなった。
私にはもう身寄りがなかったので、祝言を上げるとしてもその保証人は御館様と槇寿郎さんしかいない。
この大変な時期に私の為に2人の手を煩わせるのは些か申し訳なさもあるが、きっと2人とも否とは言わないだろう。
｢実弥様にもきちんとご報告しないといけないね…｣
そう言った私に彼は気まずそうに笑ってため息する。
｢そうなんだけどなぁ…兄ちゃん、俺の事嫌ってるみてぇだからなぁ…｣
｢そんな事ないと思うけどな…実弥様、いつも優しい音してるよ？｣
｢…ならいいんだが…｣
これがきっかけで仲直り出来るといいね、なんて話しながら。
更けていく夜に抗えず2人とも眠りについた。
翌朝、彼の支度を手伝って入口まで見送って。
今日も任務の為にと自分の身支度を始めた。
それから3日に1度は彼がわたしの部屋に上がって、その度に甘い手解きを受けて。
身銭をきってわたしに会いに来る彼に申し訳ない気持ちから、無駄遣いしないで欲しいと乞うも、俺が会いたいだけだから、と一蹴されて。
あまりに足しげく通う彼にいよいよ鯉夏姐さんに｢彼、好い人なんでしょう？｣とからかわれた。
彼を見送りに出てる時のわたしの顔は『女の顔』なのだと言われて、流石に色々支障が出てはまずいと思い彼にしばらく店には来ないようにと文で釘を刺した。
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続編を作成しました。
ここまで来れたのもひとえに支えてくださった読者様のお陰です！
これからも頑張って執筆していきますのでよろしくお願いします。
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ひな(プロフ) - とろ玉うどんに使われてる器さん» コメント頂き有難うごさいます。面白いと言って頂けて嬉しいです。拙い文章ですが少しずつ更新していきますのでお暇つぶしにでもして頂けたら嬉しいです。 (2020年1月11日 18時) (
レス) id: bfebdd5928 (このIDを非表示/違反報告)
とろ玉うどんに使われてる器 - 凄い面白いです！一気に読んじゃいました！！！玄弥可愛い．．．！！ (2020年1月10日 19時) (レス) id: b3c78b6606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひな | 作成日時：2020年1月4日 15時
