1度だけ ページ49
｢今度は最初から2本でも大丈夫だったな。｣
じゅぷじゅぷと厭らしい水音が響いて、自分の身体なのにそうじゃない気さえしてきた。
｢あっ…玄弥くんっ…｣
｢苦しくねぇか？｣
｢へ、き…あっ…やっ…それっ、だめっ｣
柔い内壁を指の腹でカリカリと優しく引っ掻かれて、ぞわりと鳥肌が立つ。
彼の首にしがみつくと、ポンポン、と宥めるように頭を撫でられた。
｢やぁっ｣
中を弄られながら、秘芽を擦られて、強い刺激に全身が粟立つ。
｢あっ、あ、玄、やく…玄弥くんっ｣
｢可愛い…｣
彼に与えられる快楽に、もうただただはしたなく嬌声を上げるしかなくて。
｢やっ、また、きちゃっ…んっ…やあぁっ！！｣
2度目の限界を迎えて、彼の指をキュッと中で締め付けるのが分かる。
身体が痙攣するようにピクリと震えて、起き上がる力もなく彼に撓垂れ掛かったまま吐息を漏らした。
｢ん、｣
ずるりと指を引き抜かれたその動きでさえもう快楽としてしか認識しない自分の身体が恨めしくなる。
｢身体は平気か…？｣
｢ん、へ、き…ふわふわする｣
わたしの言葉にそうか、と照れ笑いを浮かべて、乱れた着物を直してくれるその優しさに、小さく笑みが零れた。
｢そうだ…｣
傍らに畳まれた羽織の袖をなにやらゴゾゴソと探った彼が、小さな包みをわたしに手渡した。
｢会えたら渡そうと思ってたんだが…｣
まさかこうなるとは、と気まずそうに頬をかく。
包みを開けると、それは以前2人で出かけた時にわたしが気に入っていた簪だった。
｢これ…あの時の…｣
順番が逆になっちまったな、と呟く彼に、手の中に収まるこれが大きな意味を持って渡されたことに気付いて顔を上げる。
｢俺がそれを贈った意味、わかんだろ？｣
｢わ、かんないよ…わたしの勘違いかもしれないし…｣
｢お前なぁ…｣
呆れたように笑って、そしてわたしを優しくだきしめた。
｢１回しか言わねぇからよく聞け。｣
囁くように耳元でそう言われて、自分の鼓動が跳ねるのが分かる。
｢……愛してる。俺と、一生を共にして欲しい。｣
好きな人に求婚されているというのに、上手く言葉が出てこなくて涙が出そうになる。
何も言わないままのわたしを不審に思った彼はわたしの顔を覗き込んで、それから優しく問う。
｢俺と夫婦になるのは嫌か？｣
彼の問いにブンブンと首を横に振った。
｢そうか、良かった。｣
彼の安堵した表情を見て、何故だか涙がポロポロと零れた。
そんなわたしを見て困ったように笑う彼。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひな(プロフ) - とろ玉うどんに使われてる器さん» コメント頂き有難うごさいます。面白いと言って頂けて嬉しいです。拙い文章ですが少しずつ更新していきますのでお暇つぶしにでもして頂けたら嬉しいです。 (2020年1月11日 18時) (
レス) id: bfebdd5928 (このIDを非表示/違反報告)
とろ玉うどんに使われてる器 - 凄い面白いです！一気に読んじゃいました！！！玄弥可愛い．．．！！ (2020年1月10日 19時) (レス) id: b3c78b6606 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひな | 作成日時：2020年1月4日 15時
