らっきぃすけべ ページ39
腕を少し緩めれば、顔を真っ赤にした彼が、目尻を吊り上げてこちらを睨む。
「男に可愛いとか言ってんな!あと、人前で抱きつくんじゃねぇ!!」
「だって…」
「だってもクソもあるか!!あとなぁ!当たってんだよ!!」
当たってる、と言われはて?と首を傾げるが真っ赤になった彼が埋もれている場所を考えてハッとし、即、手を離して解放する。
「その…粗末なものですみません…」
「そういう事じゃねぇ!!!」
ついには呆れて頭を抱え始めた彼にわたしは為す術もなく。
「えっと…ごめん?」
とりあえず謝っておいたら軽く小突かれた。
食べかけだった夕飯を完食して。(暫くまともな食事をしてなかったので半分ほどしか入らず、残りは玄弥くんが食べてくれた)
彼はそのまま、わざわざ部屋の前まで送ってくれた。
「今日は一人で寝れるな?」
「ん、昨日は有難う。今日も…1日付き合ってくれて有難う。」
「別に、気にすんな」
「またお互い任務だったりで暫く会えなくなるかもしれないから…その時は、円に文を持たせて飛ばすね…」
「別にいいが…返事なんて書かねぇぞ」
彼の言葉に、そう言うと思った!と笑えば意味ねぇじゃねぇかと笑われた。
ひとしきり笑って、少し間が空いて、それでも離れがたくて。
たかが就寝の挨拶がこんなに名残惜しいなんて、そんな日が来ようとは、師範風に言うとよもや!という感じだった。
「ん。」
お互い離れがたくておやすみの一言が言えなくて、このまま夜が明けてしまいそうな勢いだったので、勇気を振り絞って、目を閉じて、彼に接吻を強請ってみる。
ほんの少し、彼から動揺した空気が伝わったけれど、彼は優しく優しく、わたしの唇を食んだ。
重なった微熱が離れた後、お互いに照れくさくて視線を外して。
「えっと、じゃぁ、おやすみ。」
「あぁ、おやすみ」
就寝の挨拶を済ませて自室へと戻る。
そのままわたしは寝支度を始めたけれど、その扉の前で彼が四半時足らずの時間頭を抱えて悶えていたなんてことを、わたしは知る由もなかった。
それから思っていた通り彼とは暫く会えない日々が続いて。
「お、丁度いい所に。」
「天元様。」
「ちょっくら頼みがあってなぁ!喜べ!久しぶりにド派手な任務だ!」
音柱であるその人にとても気軽な様子で呼び止められたわたしは、この後とんでもない任務に連行される羽目になるので暫く彼を恨まずには居られなかった。
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ひな(プロフ) - とろ玉うどんに使われてる器さん» コメント頂き有難うごさいます。面白いと言って頂けて嬉しいです。拙い文章ですが少しずつ更新していきますのでお暇つぶしにでもして頂けたら嬉しいです。 (2020年1月11日 18時) (レス) id: bfebdd5928 (このIDを非表示/違反報告)
とろ玉うどんに使われてる器 - 凄い面白いです!一気に読んじゃいました!!!玄弥可愛い...!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: b3c78b6606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2020年1月4日 15時