お仕事の前に ページ4
珍しく素直に伊黒さんが褒めてくれたので照れてしまった。
「まぁ!Aちゃん照れてるのね!可愛いわ!」
「だって伊黒さんが褒めてくれたから…」
「別に褒めてない…悪くないと言っただけで…」
「もう!伊黒さんったら素直じゃないんだから!」
目の前のキャッキャウフフなやり取りにもう早く結婚してくれないかなこの2人…と思いながらも、伊黒さんのお邪魔にならないよう早々に失礼することに。
「Aちゃーん!お夕飯楽しみにしてるわねー!」
「腕によりをかけますよっ!」
甘露寺さんがこちらでご飯を食べるのなら今日は沢山作らなくちゃなぁ、腕がなる!と気合いを入れ直して、連れ立って出かけていく2人を幸せな気持ちで見送った。
「さてと、まだちょっと時間あるかしら…?せっかくだから師範にも新しい制服見せに…わっぷ」
振り向きざまに誰かとぶつかってしまい、鼻を強打したため思わず蹲る。
「おぅ、悪ぃなぁ。」
「て、天元様ぁ…」
鼻を擦りながら見上げるとそこには音柱の宇髄天元様が。手を伸ばされたので遠慮なくその手に捕まり起こしてもらう。
「よっと。しかし派手にぶつかったなぁ!」
「すみません、わたしがよそ見してたから」
「いやいや、役得役得!」
役得、とニヤリと意地悪く笑う天元様に意味がわからず首を傾げる。
「若い女の生足ってのは派手に唆るなぁ!」
「な!!!忘れてください!!天元様のすけべ!」
「男ァみんな少なからずスケベだぞ、A」
「もう!ああ言えばこう言う!そう言えば天元様、今日は奥方様の所でお夕飯ですか?」
「いや、今日は任務で遅くなるから隊舎で…あぁ、そういや夕飯からはお前も食事係なんだな。」
そうかそうか、頑張れよ、とクシャり、頭を撫でてくれる天元さまにホワホワした気持ちになる。
きっと兄がいたらこんな感じなんだろうな、なんて。
「そうだ、よく似合ってるぞ、それ。」
「!!ありがとうございます!」
「うなじが覗いて前より艶っぽいところがなぁ!」
「もおおぉぉ!天元様ぁ!!!」
前言撤回。こんなスケベな兄はいない。
そのうち絶対奥方様に言いつけてやるんだ…と胸に決めて、へそを曲げていた師範の所へ歩みを進める。
「師範…」
「む?Aか…。」
「どうですか?厨用の新しい制服です。」
「うむ、可愛いぞ、似合っている。」
「ふふ、ありがとうございます。」
へそを曲げていても、どんな時でも、師範はいつも真っ直ぐな言葉をくれる。
だから大好きだ。
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ひな(プロフ) - とろ玉うどんに使われてる器さん» コメント頂き有難うごさいます。面白いと言って頂けて嬉しいです。拙い文章ですが少しずつ更新していきますのでお暇つぶしにでもして頂けたら嬉しいです。 (2020年1月11日 18時) (レス) id: bfebdd5928 (このIDを非表示/違反報告)
とろ玉うどんに使われてる器 - 凄い面白いです!一気に読んじゃいました!!!玄弥可愛い...!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: b3c78b6606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2020年1月4日 15時