相談 ページ24
食堂に向かって歩いていると、見覚えのある背格好を見つけて。
「天元様、」
その大きな背中に声をかける。
「おぉ、Aじゃねぇか!地味に早起きだなぁ」
「何だか早く目が覚めて…そうだ、天元様にご相談、というか聞いて欲しい事が…」
「お?なんだなんだ?」
一先ず食堂に行きませんか?、と彼を食堂に促して、ザワザワとした人混みを抜けて端の方に席を確保する。
「で、話ってのは何だ?」
興味津々の様子でこちらを見てくる彼に一瞬相談相手を間違えただろうかと後悔もしたが、正直色恋事に関しては彼を除いて相談出来る相手が思いつかなかった。
「あの、天元様って確か、お嫁さんが居るんですよね?」
「あぁ!3人いるぞ!どいつもこいつも派手でいい嫁だ!」
「あの、お嫁さん以外と、そういう仲になりたいとか、思うことってありますか?」
「あ?」
わたしの質問に「何言ってるんだコイツ」って顔でこちらを見る天元様。
わかっている。自分でも何言ってるんだと思う。
「ですから、その、好いた相手以外に、その、例えば、接吻…したりとか…」
「なんだ、好きでもない男に接吻でもされたのか?」
「ち、そうじゃなくて…」
「なんだ、好いてる男なら良いじゃねぇか。」
「もう!真面目に聞いてくださいよ!」
茶化すような物言いの彼に頬を膨らませて怒れば、ケラケラと笑われた。
子供だと思ってバカにして!
「わたし、わからないんです。その、相手からは少なくとも嫌われてはないと思うんですが…でも、そもそも、その、男の人は、す、好いた相手以外にも簡単にそういう事が出来るものなのでしょうか…?」
「なんだ、相手の男は何も言わずにお前を奪ったのか。」
「好いているとかは特に…もっと男を警戒しろとは怒られましたが…」
「うーん、わかんねぇなぁ…そいつの人となりがわかんねぇからなー」
片頬をついてわたしをじっと見たあと、ふぅ、と彼は小さくため息した。
「まぁ、そいつが真面目な奴ならお前の事を好いてるから手をつけたんだろうよ…ちぃと言葉が足りねぇ気がするがな。」
ポンポン、とわたしの頭を優しく撫でながらそう言って笑った天元様。
「で、どいつだ、Aに接吻した男ってぇのはよ」
ニヤリと悪い笑みを浮かべてそういった彼に、やはり相談相手を間違ったと思った。
「お、教えません!」
「減るもんじゃねぇしいいだろうが」
ニヤニヤと面白おかしく私をつつく彼に、断固黙秘を決め込んだ。
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ひな(プロフ) - とろ玉うどんに使われてる器さん» コメント頂き有難うごさいます。面白いと言って頂けて嬉しいです。拙い文章ですが少しずつ更新していきますのでお暇つぶしにでもして頂けたら嬉しいです。 (2020年1月11日 18時) (レス) id: bfebdd5928 (このIDを非表示/違反報告)
とろ玉うどんに使われてる器 - 凄い面白いです!一気に読んじゃいました!!!玄弥可愛い...!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: b3c78b6606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2020年1月4日 15時