対峙 ページ15
許さない。
わたしの仲間たちをこんな目に合わせて、こんな酷いこと…許さない。
ぎゅっと噛み締めた唇から鉄の味がしたけど今はどうでもよかった。
まだ戦闘の最中かもしれない炭治郎くんを一刻も早く見つけなければならない。
これ以上誰も殺させない…絶対に。
愛刀を握り締めた直後、それはハッキリと聞こえた。
「なんの未練もなくお前たちを刻めるよ」
声の方へ駆けつければ今まさに血鬼術に捕らえられた炭治郎くんが視界に入って。
彼を閉じ込めた糸の檻を断ち切ると彼の前に立ちはだかる。
「A…さ」
「よく頑張ったね炭治郎くん。君はそこで休んでいて!」
「次から次へと…」
「お前っ…数持ち…十二鬼月か。」
鬼の瞳に揺れた『下伍』の文字に肌が粟立つのを感じた。
「…星の呼吸、参ノ型…」
「まずはお前を刻んでやるっ」
「彗星風受!!!」
名の如く、流れる彗星のように相手の攻撃を引き裂いて風のように受け流しながら鬼の元へと歩を進める。
「っ…」
流し切れなかった攻撃が頬に傷を作るのも構わずその距離を詰めれば、相手も負けじと突っ込んでくる。
「お前のような小娘に、まさか俺が怯むとでも?」
「まさか。」
身を守るために躱せば奴の糸が身を引き裂き、攻撃に転じれば相手の速さに今ひとつ追いつけず首落とすことも叶わない。
このまま持久戦に持ち込まれれば先にわたしの身体が崩れるのが目に見える。
どうする、どうする。
思考を巡らせているその間も奴の攻撃はやまない。
「はぁ、はぁ…やっぱ体力ないなぁわたし…」
呼吸が乱れないよう息を整えるが、もう長らく持つまい。
相打ちを覚悟してでも特攻するか逡巡したところで、わたしの耳が近くで土を踏む音を捉える。
まずい、ダメだ、誰か来ている…
「口ほどにもなかったな。」
頼むから柱でない事を祈った。
この場で勝機を見いだせるのが例え柱だけであってもだ。
音に気を取られすぎて鬼の攻撃の手を見誤ってしまったことに気づき呼吸を整えるが最早手遅れと覚悟して目を閉じる。
キシ、と草を踏む音がして、わたしの頭上を何かが飛んだ。
降りかかることのなかった攻撃に目を開ければ、目の前には風に揺れる1束の黒。
「義勇様!」
「お前たち、俺が来るまでよく堪えた。あとは任せろ。Aは後で話があるがな。」
直前の自分の行動を思い返して、これは説教だ…確実に説教だ、とまた違う覚悟を決める羽目になる。
行け、と促されるまま竈門兄妹の傍に寄り傷の手当をする。
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ひな(プロフ) - とろ玉うどんに使われてる器さん» コメント頂き有難うごさいます。面白いと言って頂けて嬉しいです。拙い文章ですが少しずつ更新していきますのでお暇つぶしにでもして頂けたら嬉しいです。 (2020年1月11日 18時) (レス) id: bfebdd5928 (このIDを非表示/違反報告)
とろ玉うどんに使われてる器 - 凄い面白いです!一気に読んじゃいました!!!玄弥可愛い...!! (2020年1月10日 19時) (レス) id: b3c78b6606 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひな | 作成日時:2020年1月4日 15時