来世でお会いしましょう

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机の上には、変な色をした錠剤と水。




「……本当にいいの？」




『うん、兄さんの側で死ねるなら私は幸せだよ。』




薬を飲んで意識が朦朧とするAを膝枕して頭を撫でる。
苦しんで欲しくないから、これが最善だった。
どんどんAの目が虚ろになっていく


それが、Aの死が近づいている事を嫌でも分からされる。たまらなくなって妹の手を握る

はっ、はっと浅い息を繰り返すAは、ふにゃりとはにかんだ。




『泣かないで、兄さん。大好きだよ。世界で一番』





「……っ俺も、大好きだよ。」





『にいさっ…ん…おかあ、さんとおとうさ、んにいっ、とい、て』




「……なんて？」




『こ、んなばかむすめで、ごめん、ね、て』





馬鹿な訳あるか。
Aは俺にとってもお父さんにとってもお母さんにとっても宝物だよ





かすかに震えながら、ぼろぼろと涙を零す。
そんな妹を見るのが辛い。
もっと幸せにできたはずなのに、なんでこの子がこんな目にあわないといけないんだ。



世界で1番、優しくて大切な妹なんだ。




お願い神様。生まれ変わっても、2人一緒にいさせてほしい。
お願い、神様、





『にいさ、ん…にい、さ…ぅ』





「大丈夫、俺はここにいるから、大丈、夫、だから……ほら、…大丈夫、大丈夫」




いつもAが言っていたように大丈夫を繰り返す




ああ、そうなんだ。
大丈夫って言葉は、自分に言い聞かせる言葉なんだ。



ごめんね、分かってあげられてなかった。



だんだんAの目が閉じていく
体が冷えていく
俺の手を握っている手の力が抜けていく



「Aっ……」



ぎゅっとAの体を抱く
ごめんな、こんな兄さんで。
助けてやれなくて、ごめん。



涙が溢れて止まらない
一番辛かったのはAのはずなのに、


ごめんな、こんな兄さんで。




まだ涙で濡れているAの瞼に、キスを落とした。

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