Quotidiano 3 (ページ24)

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Deep ページ24

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「すっごく美味しかったですね」

「ほんと美味かった～、またご飯行こうね」

「じゃあ、帰ろっか」

「はい！」

「俺も行く～」

「隆二はいいから」

「なんで！」

「明日、仕事違うじゃん」

「まぁ、」

「じゃあな」

「隆二さん、おやすみなさい」

「2人ともおやすみ～」

程よく酔っぱらった隆二さんを見送ってから
私も広臣さんとタクシーに乗ったんだけど

なんか、静かだな

外を眺めてるうちに到着し、
広臣さんの後ろをゆっくりついてく

「A、大丈夫？」

「はい！大丈夫です」

「どこでもどうぞ」

「おじゃまします」

広臣さんのお部屋は2回目、そしていい匂い

玲於や隼とは違った大人っぽい
なんて言ったらいいかわからないけど

テレビの前にあるソファーにゆっくり腰を下ろすと

「ごめんね、水しかないんだけど」

「大丈夫です！」

「お風呂沸いてるから先入りな」

「でも広臣さんは？」

「後でいいよ」

「じゃあ、お先に失礼します」

な、なんか緊張する

無駄にドキドキしてると、変な気分に
なんてゆうか、嫌なドキドキになってきて

鏡に映る自分の後ろに
纏わりつくような黒いもの

それが何なのかなんて分かるわけもなく
気持ち悪くなる

意識が飛びそうになりながら助けを求める

「ひろ、おみさん、はぁ、たすけっ、て」

私の声は届いたのか分からないうちに
意識は深い深いところに沈み

思い出したくない……
あの事故の記憶、追いかけられた記憶と

嫌、助けて、

「おい、A？分かるか？俺、広臣」

「広臣さん、こわっ、かっ、た」

「よしよし、もう大丈夫だよ」

私を腕に閉じ込めて
右手は背中を規則よくポンポンしてくれて
左手は頭を優しく撫でてくれて

それが隼の時のように安心した
ワンワン泣きながら、広臣さんの胸に頭を預け

恐怖を吐き出すと
うんうん、としっかり聞いてくれる

その後に、広臣さんの口から溢れたのは
少し前のアルバムの1曲で、
今の私の心に沁みる

「瞳閉じれば幾つもの景色が浮かぶよ」

「誓ったあの日から理想の自分になれているかな」

私は溢れる涙も気にせず
優しい声で歌う広臣さんの胸に、
ギュッとくっついた

「落ち着いた？」

「ん、ありがと」

「俺らの歌、知ってた？」

「うん、聴いたことあった」

「そっか、」

そのまま、広臣さんに抱きしめられながら
夢の中へと意識を沈めた

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