じしょーへき

君の全てを。　cross ページ11

私の彼氏である、crossは過保護だ。

　

少し、心配症だな…位ではない。



本当に過保護過ぎるのだ。



この前は…



ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ




「お早う、cross！」


「あ、Aさん！お早う御座います！」




此方に振り向くcross。


其の姿は宛ら柴犬だ。




「朝ご飯って…もう出来てる？」


「あ！まだ作ってないです！急いで用意しますね！」


「ねぇ、今日は私が作るよ？」


「…？！駄目です！包丁とか使うじゃないですか！」




何故か、物凄く焦るcross。



そして、辺りに響く位の大声を出す。




「え…うん。そうだよ？」


「包丁で手を切っちゃうかもしれないんですよ？！」


「いやでも…」


「Aさんが傷付くのが何より恐ろしいんです！分かって下さい…」


「…う、うん…」




ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ



此の時は流されてしまったが、どう考えても可笑しい。




そもそも、普段のcrossはこうではない。



だが、此れよりも、もっと過保護過ぎるエピソードがある。



ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ




「痛っ！！」




私が、金切り声をあげる。



すると、crossがショートカットもしない位焦り、此方に来た。




「Aさん！！どうしたんですか？！」


「…紙で手を切っちゃって…」


「嗚呼…怪我させた…」




そう言って、crossはしゃがみ込む。



そして、何かブツブツと呟いている。




「…？クロスのせいじゃないんだし…大丈夫だよ？」


「でも"っ…俺が注意してな"かったせい"…なの"で…」


「嫌だ嫌だ嫌だ…」


「…！？泣かないで…？大丈夫だから…」




そう言いながら、crossは泣く。



床に大量の水滴が落ちているのが見えた。




「…じゃ､あ"…手当しましょうか…」


「う…うん…そうだね…」




ｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰｰ



此の時、まさか泣かれるとは思っても見なかった。



そんなに心配なのか…？



私が怪我をする事が。



…其れにしても過保護過ぎる…



矢張り、何か可笑しい。




「ご飯出来ましたよ！」


「…！はーい！」




噂をすれば。

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