[ 実況者 ] 非無自覚 2 [ キヨ , レトルト] (ページ10)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:14,273 hit

五十四話ページ10

.

レトルトside

Aに呼び出された場所へ行くと見事仲直りすることができた。

仲直りの握手だなんて称して握った手は久々に触れたものだった。

それにひどく安心した。

「またゲームとかで遊ぼうな！

『もちろん！ ...まあ前より頻度は減ると思うけど。』

「減るって、なんで？」

『アブ兄に聞いたんだろ？ ...俺とキヨのこと。』

俺とキヨのこと、

その単語が頭の中で何回もリピートされた。

「あー... なるほど、そうやったなあ。」

動揺はしたものの我慢した。

だって、二人の邪魔をしないって決めたから。

『だから安心して。 ...もうキスしたりしないから。』

唇にゆるやかな弧を描いてAは言った。

俺の大好きな笑顔で残酷な言葉を。

グサリと表情と言葉が胸に突き刺さった。

それと同時にアブの言葉が思い出された。

奪う、

略奪、

奪うことは確実にAとキヨくんを傷つける結果になる。

それに俺が奪う方向に向かったところで俺が成功するとも限らへん。

-----後悔はないようにね。

けれど、せえへんかったら絶対に後悔をする。

一生Aに対する想いを押し殺して、良い人のフリをして二人を応援し続ける。

そんなん... そんなん....

「...もうキスしてくれへんの？」

....耐えられへんわ。

『へ...?』

「あんだけ毎日のようにしてたのにもうせえへんの？」

俺の言葉にAは不思議そうな顔で俺を見る。

『しないもなにも迷惑だったんだろ？』

「...迷惑なんか思ったことない。」

『じゃあなんであの日...』

「あれは一旦生半可な関係を切って新しくゆかに向き合おうと思ったんや。」

『そっそれってどういう....』

「ゆかが好きや。」

困惑するAに俺は秘めていた気持ちを吐き出した。

Aは驚きの顔を濃くした。

「言い間違えとかやない。好きなんやゆか！ほんまはあの日に言いたかったけどゆか途中で逃げるから...」

グッと息を呑んで一歩、二歩とAに距離を縮める。

そして小さく背伸びをしてAの唇に唇を重ねた。

それは初めて俺からするキスだった。

_____________________

停滞すいませんでした！

.