[ 実況者 ] 非無自覚 2 [ キヨ , レトルト] (ページ7)

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五十一話ページ7

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「うんうんそうだな.... ってキス...? 」

「うんそうだよ。 ...もしかしてこの話すら知らなかったの？」

キスってAとレト先輩が....？

「きっ聞き間違えしたかな俺？もっかい言ってくれる？」

「レトやんとAはキスする関係だったんだよ。」

ズバリとアブ先輩は言葉を放つ。

間違いを願ったけどそんな願いはすぐに打ち壊された。

「...二人は付き合ってた？」

「ううん、付き合ってはないよ。 ...けど二人とも両思いだったと思うよ。
..喧嘩したあの日、レトやんがAに告白しようとしたんだ。けどAが勘違いしちゃってすれ違いが起こったんだ。」

キス。告白。両思い。

様々な単語が俺の耳を通過しては頭を混乱させていく。

「...まあ今は君のことが好きみたいだけどね。」

にっこりと微笑むアブ先輩。

だけどその笑顔にも言葉にも素直に首を縦に振れなかった。

それどころか笑顔も言葉も俺の胸に突き刺さる。

(ああ、だからあの時Aは...)

あれだけ悲しんでいたんだ。

アブ先輩に街であったとき誤魔化したんだ。

なかなかにレト先輩と仲直りしたがらなかったんだ。

すべての辻褄が、空いたピースがはまっていく。

俺は席から立ち上がるとカバンを肩にかける。

「あれ？どこに行くの？」

「...帰る。」

「Aを待たないの？」

「ちょっと急用思い出したから。」

「...そっか、バイバーイ。」

アブ先輩に俺は手だけ振っておいた。

教室を出て扉を閉めるとハアと息を吐く。

(...今でもAはレト先輩を想ってるのか。)

そうだとしたら、俺に見せた笑顔も、キスも、抱きしめあったのも、交わした言葉も、

ウソなのか...?

(...違うよな。)

違う。そうだ、絶対違う。

そんなの信じたくない。

もしそうであったとしても。

(けど喧嘩の理由を言わなかったのって...)

Aを思ってる俺をレト先輩の代役にするためだったんじゃ....

いやいや、そんなことAがするわけ...

(...どうすりゃいいんだよ )

疑いの気持ちと、Aを信じたい気持ちが心の中で葛藤する。

それは俺の胸の中をぐちゃぐちゃに掻き乱して収まりそうになかった。

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