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「そんなに怖がらないで、力になりたいんです。…
「…は、ハーツラビュル1年のダーティがお前等に不満を持ってる奴を集めてボコれば勝てるって…!…はっ何で!?」
「…だそうですよ、アズール」
「ダーティ…?変ですね、彼とは契約を交わしたことがないはず」と呟きながらアズールはモストロ・ラウンジに転がっている男共を見渡した。けれど、話に出たダーティという男はいない。思わず眉を顰めるアズール。
知らぬ間に姿を消していたフロイドがバタバタとアズール達の方へ走っており、その顔には焦りが浮かんでいた。
「ジュゴンちゃんが、…Aがいない!!!!」
「「え?」」
アズールとジェイドの声が重なった。
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アズールとジェイドが犯人を吐かせている間に、フロイドはAを呼びに行った。VIPルームのドアノブに手を掛けると、鍵がかかっておらず何の抵抗もなく扉が開いたことに嫌な予感が走った。思わず勢い余って扉を乱雑に開けてしまったが、フロイドはそれどころではなかった。
そこまで広くないVIPルームをグルリと見回しても、見慣れた白は見つからず。念のためにジュゴンちゃんと呼びかけるが、当然の如く反応が無い。フロイドはモストロ・ラウンジに慌てて引き返したのだった。
粗方の説明がお互いに済んだ3人だが、何時も冷静で余裕そうな表情は見る影もない。
手で顔を覆うアズールが深い溜息を吐いた。
「…成程。大体把握できましたよ。最初から狙いは僕たちでは無く、Aさんだった」
「態々、雑魚の群れをけしかけるとか…随分な事してくれんじゃん」
「見つけた時は相応の対価を頂かなくてはいけませんね」
「フロイド、Aさんの匂いを辿ることは可能か?」
「無理。匂い消しの魔法薬でも使ったのか、なーんにも残って無かった」
「おや。これでは地道に探すしか道が無くなったわけですか」
「こんな見え透いた策に引っ掛かるとは…僕もまだまだです」なんて言葉とは裏腹に瞳をギラギラとさせるアズールは、急いでオクタヴィネル寮生にAを捜索するように命じた。
なるべく学園内、オクタヴィネル寮内、ハーツラビュル寮内を徹底的に調べるようにと言えば、寮生は即座に散らばる。
自分たちもうかうかしていられない、とアズール達もAを見つけ出そうと走り出すのだった。
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おひつじ(プロフ) - 百華夜さん» コメント有り難う御座います。今後の話で出す予定なので楽しみに待っていて下さいね!作者が社畜故、更新が遅いですが気長に待っていただけると嬉しいです…! (2022年11月30日 23時) (レス) id: cb4f368955 (このIDを非表示/違反報告)
百華夜 - 初コメ失礼します、この小説、スッごく面白くて好きです。あの方が誰なのか、ヴィルさんは何処で夢主と知り合ったのかが凄く気になります。更新、頑張って下さい、応援しています。 (2022年11月23日 16時) (レス) @page10 id: a48955bec9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おひつじ | 作成日時:2022年11月18日 12時