秘密 (ページ17)

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第8話-1 ページ17

探してしまう。

ユンヒョンの痕跡を。

玄関先には
見当たらなかった。

そんなもの見たくないのに、
確かめたい。

"矛盾。"

ジョン「顔洗いたいんですけど、
洗面所借りてもいいですか？」

○○「うん。あ、
これ使っていいからね。」

ヌナが案内してくれて、
洗顔フォーム、
スキンケア用の
オールインワンジェル、
タオルを出してくれた。

トイレとお風呂は別。

洗面所と脱衣場もある
1Kのマンション。

狭い家だけど
コンロは3口あるんだって、

ここに来るまでの間で
話してくれた。

───見つけた。

歯ブラシが、2本。

ヌナに渡されたのとは別の、
男物の洗顔フォーム。

ユンヒョンの痕跡。

この洗顔フォームの量を
減らしたら、

ヒョンはこの部屋に
男が来たんじゃないかって
疑うかもしれない。

一瞬握って、そのまま戻す。

何かをザクザク切って
炒める音。

いい匂い。

キッチンにそっと行って、
料理をするヌナを
後ろから見ている。

ユンヒョンはこんな時、
どうしてるんだろう。

料理をするヌナを
後ろから抱き締めてる？

部屋で平然と料理が並ぶのを
待ってる？

どちらもユンヒョンらしくて、
どちらも想像できた。

ジョン「いい匂いですね。」

○○「あまり期待しないでね。
ジョンの口に合うかどうか、
自信がないんだ。」

ジョン「ヌナのご飯は
僕の口が合わせにいきますから、
口に合わないことはありません。」

○○「そんなこと言われたら、
女の子はイチコロだね。」

ジョン「ヌナもですか？」

○○「、・・・」

余計なことを言った、

って顔をする
ヌナの正直さが愛しい。

近づいて後ろから抱き締める。

ヌナが動揺して、

コンロの火を消した。