07.諦めんなよ。 ページ8
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先生の秘密を知った。
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和也「元気ないじゃん、立花」
「あ…、ニノちゃん」
和也「いつから俺はニノちゃんになったのよ」
「いや…、5秒前」
和也「真面目な回答ありがとう。んで？どーしたのよ、この世の終わりみたいな顔して」
「だって」
和也「ん？」
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だって。
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ーーー… 智『俺の秘密。知りたい？』
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『…知りたい、ですけど』
智『ふうん。じゃあ教えちゃる。A、絶対俺のこと嫌いになるよ』
『？嫌いになんてならな…』
智『俺ね、教え子に手ぇ出したの』
『……へ』
智『ここに来る前の学校で、教え子に手ぇ出したの。そんでその教え子は他の男と結婚したんだけど』
『……』
智『今も関係続いてんの。愛人なの、俺』
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思わず開きかけた唇をぎゅっと噛み締めて、喉まで出かかった言葉を打ち消した。
昨日の放課後言われた秘密。先生の、秘密。秘密だよって言われたからそれは例えニノちゃん先生だとしても言えない。
もしかしたら私をからかっただけかもしれない。ウザったい私を引き離すために変な嘘をついたのかもしれない。
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そう思いたかった。
そう思えなかった。
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だって、あんな目が本気な先生、見たことないんだもん。
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「……ニノちゃん」
和也「ん？」
「ニノちゃんには誰にも言えない秘密、ある？」
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昼休み。男子たちがぎゃあぎゃあ騒いでるグラウンドを、渡り廊下から眺める。
ひゅう…っ、と夏の風が吹いて蝉の声が響き渡った。
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和也「あるよ」
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ーーー…誰にも言えない秘密なんて、そんなゴロゴロあるわけがない。
でも、その言葉に驚いて隣を向くとニノちゃん先生は私を切ない目で見下ろしていて
夏の日差しが眩しかった。
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和也「誰にも言えない秘密。あるよ」
「……え」
和也「まあ、今絶賛一人の女の子にバレそうなんだけど」
「……相川ちゃん？」
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私がそうたずねると、先生は何も言わず俯きながら微笑んで
すぐに顔を上げると、ぽんぽんと私の頭を撫でた。
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和也「諦めんなよ、女子高生。」
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青春なんて一瞬なんだからな。
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