06.宿題を出してやる ページ7
.
.
あ、やだ。
.
.
智「篠原……、なんで」
「なんでって酷いなぁ、先生！数年前の教え子も忘れちゃったの？(笑)篠原梨子ですよー」
.
そう言って笑うのは、とっても綺麗な人。そして話から考えると
どうやら篠原さんは先生の教え子さん……らしい。
.
.
智「なんで…、お前旦那は？子供いんだろ？」
梨子「いやいやいやいや(笑) いても母校に来るでしょ、フツー」
.
.
先生の、瞳が違う。見たことない。甘いよ。甘い。色が、色彩が違う。
恋をしてる私だから、わかる。
.
.
先生、この人のことーーーー……。
.
.
智「せっかく来てくれたけどさ、篠原」
梨子「ん？」
智「俺、今そのAちゃんとお話し中だから」
「えっ」
.
.
ちゃん付けで呼んだことないくせに。あからさますぎだよ先生。
.
一斉に向けられた私への視線に、少し止まっていると篠原さんは「そっか」って笑って
「じゃ、またね」ってひらひらと手を振って体育教員室をあとにしていく。
.
.
ガラガラ、ピシャン。と体育教員室が閉まる音。
.
.
.
「せんせ……」
智「ラブアフェア」
「は？」
.
.
先生は座っていた椅子から立ち上がると、キャラメル色の空を窓から眺めて言った。
.
.
智「ラブアフェアって意味、調べてきて」
「はい？」
智「俺からの宿題ね。調べてこなかったら一生口聞いてやんない」
「全力で調べてきますけど……」
智「うむ」
.
.
あはは、って笑う先生は先生だけど先生じゃない。
なんだか、大きな背中がとっても小さく見えて
触れたら消えてしまいそうだったから、触りたくなくて。
.
でも触りたくて、一歩踏み出して近づこうとしたら。
.
.
智「ねえ、A」
.
.
智「俺の秘密。知りたい？」
.
.
.
先生は、卑怯だ。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3079人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
