02.人生の分岐点 ページ3
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私がこうなったのには、もちろん理由がある。
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高校1年の夏休み明け。私はくじで引いた文化祭委員になってしまって。
私のクラスは映画製作なんてものをすることになって、朝のシーンを撮らなきゃいけないって話になって
文化祭委員はカメラマン役だから、私も朝早く登校しなきゃいけないことになってた。
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「ねむ……」
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カメラマン役と言っても、本格的にやるわけじゃないしなんならビデオカメラで撮るんだ。
なのに文化祭委員全員駆り出されるって何よ。と思いつつ撮影場所だと言う中庭へとそそくさと向かう。
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思えばこれが分岐点だった。
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私の学校は中庭へと行くのには校舎を通る方法と体育倉庫裏を通る方法がある。いつもは校舎だけれど
遅刻ギリギリ、とかになるとみんな体育倉庫裏を使うんだ。だから私もそれに倣って体育倉庫裏を走った。
……走った。
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『…ぅ……げ……。え？』
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最初は厄介なヤツがいるな。って思ったんだ。
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ーーー…なのに。
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午前7時半。朝日が先生の顔に当たって、先生は目を閉じて煙草を口にして煙を吐いて
ーーー…ものすごく、切ない顔をした。
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それはもうなんかすっごい切ない顔。私の語彙力がないからか、伝えることは出来ないのだけれど
とにかく、世界が沈んじゃないの？ってぐらい。そんぐらい切ない顔をしてた先生に。
先生に。
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ズギュン。胸を撃ち抜かれた。
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智『……んぁ？』
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煙草を蒸していた先生は、しばらくすると私の存在に気づいて少しだけ驚いた顔をすると
『なんだお前かよ』っていつも通りの笑顔を向けて、『はえーな、A』って。
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恋に落ちたときに、それはもうリアルタイムで。今まさに恋に落ちたって時に、この人は初めて私の名前を呼んで、私の頭を撫でたんだから。
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『……好きです！』
智『は？』
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恋に落ちるな。という方が無理な話なんだ。
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