19.俺の代わりに泣いてよ ページ20
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ーーー…『いつ戻ってくるの』
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梨子さんのお子さんが、そう言ってたのはそういう意味だったのか。
先生が切ない瞳をしていたのは、そういうことだったのか。
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点と点が繋がって、一つの透明な線になる。
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智「ラブアフェアって意味、恋愛事件じゃないって言ったろ？」
「……え、あ……はい」
智「今、車に流れてる音楽。知ってる？」
「いや……、聞いたことないですけど」
智「サザンのさ、Love Affairって言うの。諸説あるけど、不倫の歌」
「……え」
智「梨子がよく聞いてた曲」
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智「俺にとって、ラブアフェアはラブソングって意味」
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ぽとぽと、と涙が溢れてくるのがわかった。夜を駆ける先生は、あまりに切なくて
でもそんなの、先生の方がもっと痛くて。私は分かんなくて、ただただ泣きながらその音楽を聴いていた。
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智「なに。……俺のために泣いてくれんの？」
「……っく、だって…」
智「俺の代わりに泣いてよ。俺は泣けないんだよ、なんか」
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ふふってまた笑って、ぽんぽんと赤信号だったから私の頭を撫でてくれた先生。
感情がもうごちゃごちゃだ。
溢れかえったオモチャ箱みたい。
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先生は、恋心に気付くのが遅かった。
先生は、恋い慕ってる相手が自分を利用するなら利用すればいいと願った。
でも先生は、その奥底に眠ってる本当の思いに気づいて俺を使うのはと心で泣いてた。
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だから、ラブアフェア。
だから、教え子である私に目もくれないのか。
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わんわんと泣いていると、車はいつの間にか私の家に辿り着いていて
ひっく、って鼻をすすっているといつのまにか私は車を出ていて
最後に先生が言った言葉は、「ありがと」だった。
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こんなに切ない恋があっていいのだろうか。
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梨子さんは旦那さんが好き。
先生は梨子さんが好き。
私は先生が好き。
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こんな報われないなら、嫌いになればいいのに。
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だから、本気で好きな人は本気で嫌いになんてなれないんだって
厄介だ。
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