10.横顔 ページ11
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智「……A？」
「はい！」
智「…A」
「はい！」
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智「……運転中にそんなに見られると事故るんだけど」
「気にせず！」
智「気になるから言ってんのね」
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はぁ…、と深い溜息を吐いて信号が赤だったからか先生はブレーキを踏んだ。
もうなんかその動作一つでカッコよくて、いつもジャージ着てダラダラ生活を送ってる先生とはまるで別人で
何より先生が運転する車の助手席に乗れているっていうことが嬉しかった。
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だって先生の車だよ。
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先生の車は意外にきちんと整理されていて、後部座席には無駄なものが一つもない。
車内に流れてるのは私の知らないラブソングのようなもので、煙草の吸殻があることから先生は車でも吸うんだ。と納得した。
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いつもは知れない、先生の素顔。
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智「……で？」
「はい！」
智「…A」
「…はい？」
智「どこ行きたいの？」
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パカッ。と信号が赤からたちまち青に変わった。
すると先生の顔が、また引き締まってアクセルを踏み込んでハンドルをギュッと掴む。
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あぁ…、やっぱりカッコいいなぁ。なんて見とれてたら
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智「…言わないんなら、Aの家に送るけど」
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なんて真面目な顔をして言うから、私は慌てて昨晩ジックリ考えて考えて考えぬいた答えを口にした。
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「先生？」
智「ん？」
「引かないでね」
智「……ホテルとか言ったらここで降ろすよ」
「言わない言わない言わない！」
智「じゃあ、なに？」
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また信号に引っかかって、先生がブレーキを踏む。
それをまるで待っていたかのように車内を流れていた音楽も次の歌へと変わって少し楽しげなものへと変わった。
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「水族館がいい！」
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