31.最初で最後の恋…sideA ページ32
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最初で最後の「嘘」だった。
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雅紀「なんでこんな文節グチャグチャなのニノ」
和也「…うっせ。現文は苦手なの。こんなラブレターお前なんかに見せたくねぇけど、変な手紙相川に渡せねーから頼んでんだろーが！」
雅紀「カノンと図書館？」
和也「ぶっ殺す」
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昔からAに嘘はついたことがなかった。
なんでだかAには嘘をついても見破られてしまって、すぐに「マサキくんのうそつきー」なんて言われてた。
だからAには嘘をつかなかったし、Aに嘘はつけなかった。
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でもそんな俺が、渾身大の力を振り絞って吐いた
最初で最後の「嘘」と
渾身大の力を振り絞って守った
最初で最後の「秘密」。
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俺が、君に惹かれているということ。
俺が、君のことが好きだということ。
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雅紀「…、ニノ。来週にはいなくなっちゃうの？」
和也「まーね」
雅紀「……、この前はごめんね」
和也「別に。気にしてない。お前が根っから悪い奴じゃないって知ってるし」
雅紀「……にのぉぉぉぉ」
和也「暑苦しい。んで？このあとは？どうすりゃいいの」
雅紀「あ、えっと？俺の部屋においでってキザっぽい！」
和也「やっぱりぶっ殺す」
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君にばれちゃいけない、と必死に隠してきた。
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きっと。「まさきくん」って、頭を撫でられた時。慰められた時。
俺はAに惹かれていて。
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少し目を離したすきに、大人になっていく君。
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「雅紀くん！高校！雅紀くんの高校合格したー！」
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そう涙目で俺に駆け寄ってきて、抱きついてきた君を、ぎゅっと抱きしめたとき。
俺の中にあった種が、見る見るうちに芽吹いていく。
君が、咲き誇った。
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14歳。14歳も上の俺を、君は絶対好きにはなってくれない。
そう思ったから、この気持ちは「秘密」にすることを決めた。
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どこぞやの小説なんかで、幼なじみを抱きしめて「もう子供に見えなくて困ってる」なんて
そんな感じのセリフがあるみたいだけど
それはまるで俺の気持ちを代弁しているかのようなんだ。
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