30.仄かな恋心…sideA ページ31
.
.
和也「死にそーな顔してんなお前」
雅紀「本気で死にたい」
和也「死んだら俺が困るから止めとけ」
雅紀「俺が死んだらニノが困ってくれんの？嬉しー」
和也「バーカ」
.
.
陽菜の葬式が終わって、帰ってきた。帰ってくると、隣の家ーーー…Aの家が空っぽだった。
表札の七瀬、も無くなっていて慌ててAの担任である翔ちゃんに電話したら
.
翔『七瀬なら引っ越し今日だけど？え？まさかお前知らなかったの？』
.
って言われて本気で焦った。でもどう見たって、その家は持ち主を何時間も前に無くしていて
Aに電話しても、かかりはしなかった。
.
絶望的な想いを胸に潜めて、ポストを開けると可愛らしい封筒とシンプルな白い封筒。
可愛いらしい封筒は「雅紀くんへ」と書かれていたAの手紙。
シンプルな白い封筒は「Aちゃんへ」と書かれた陽菜の字。
.
光の速さで家に入って、部屋に戻って。ビリビリと破ってAの手紙を見ると
「好きでした。ありがとう。じゃあね」とシンプルな文面。
それだけで胸が打たれて、声を押し殺した。
.
随分時間が経ってから、陽菜の手紙を見ると。それは陽菜がAに当てた手紙だった。
これはきっとAが俺に読め、ということなんだろうと長い手紙を読むと
もうダメだった。
.
.
雅紀「〜〜〜〜〜っ…、」
.
.
陽菜にバレていた俺の恋心。
Aが幼い頃から、密かに。でも着実に育んでいた俺の淡い恋心。
.
ーーー…最初は。陽菜と付き合って、Aのことなんて妹だと思おうって、本当にそう思ってたのに
全然忘れられなくて。でもその分、いつのまにか陽菜が大きい存在になっていて
陽菜への罪悪感でいっぱいだった。
.
俺は陽菜が好きだよ。でもAの方が好き。
でも、…でも。
葛藤と苦悩。全部俺のせい。
.
.
ーーー…そんな日から、早くも3日。
.
.
和也「相葉サン。ちょっと手紙の書き方教えてくんない？」
.
.
「あの日」以来、喧嘩したまんまのニノがやって来て
白い封筒とペンを持って、柔らかく微笑んだ。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3891人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
